研究課題/領域番号 |
20K21940
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
森野 雄介 金沢学院大学, 基礎教育機構, 講師 (80880963)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 西田幾多郎 / 日本哲学 / アンリ・マルディネ / 大森荘蔵 / 現前 / こと / もの / 形 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本哲学の骨子を示す概念として西田幾多郎と大森荘蔵という二人の日本を代表する哲学者が独自の仕方でアプローチした「現前」概念に着目する。 さらに、この両者の現前に対するアプローチを20世紀後半のフランス哲学に見受けられる表象批判――とりわけアンリ・マルディネの現象学と比較しながら考察することで、本研究はこれまでに見逃されてきた日本哲学の本質の明確化を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究は西田幾多郎の「現前」概念の、アンリ・マルディネおよび大森荘蔵の哲学と比較を通じた明確化を目的とする。 初年度は、西田幾多郎の後期哲学における「事実」概念を再検討し、その問題点を明確化した。とりわけ、マルディネ、ヘーゲル論で論じられる「現前」に関する考察を手引きに、後期西田にその批判を適用する手法を用いた。 次年度は、西田幾多郎と比較を主題的に行った。大森荘蔵は西田幾多郎を強く非難する一方で、両者の哲学には明確な共通点がある。経験を主観と客観の分離に先立つ媒体的な「こと」と捉える側面である。他方で、両者の差異は西田が出来事の現前に強く定位する点にあることをを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的・社会的意義は、秘教的とされた日本哲学、西田幾多郎の哲学を、多くの研究者が理解可能な仕方で内在的な問題点と固有の議論を明らかにした点にある。 とりわけ、本研究は、西田とは直接関係のないアンリ・マルディネ、大森荘蔵の哲学との比較を通じ、西田のテクストに閉じこもるのではなく、より広い視座からその哲学の特徴の明確化に努めた。本研究は、西田幾多郎の議論の特徴を出来事と媒体的・前対象的な経験の二重性に見出したが、これは日本哲学に通底する非常に大きな射程を持ったテーマである。西田だけでなく、九鬼など他の京都学派や廣松渉、大森荘蔵たちの東京学派、また他の日本の哲学者を通覧する図式を提供した。
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