研究課題/領域番号 |
20K22010
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田瀬 望 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 研究員 (60876035)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フリーメイソン / 女性 / 18世紀 / フランス / 結社 / ソシアビリテ / 社交 / ジェンダー / 社交結社 / 啓蒙 / フランス革命 / 慈善 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、身分制・社団的編成・宗教に立脚する近世フランス王国の秩序が動揺し革命を経て近代へと移行する過程において、秘密社交組織フリーメイソン団が果たした役割をジェンダーの観点から解明することにある。そのために、近年フランスの内外で公開・発見された新史料群やエゴドキュメントを渉猟することで、18世紀フランスにおけるフリーメイソン団による女性受け入れの背景と様態、女性の受容と排除をめぐる男性メイソンの言説、女性メイソンの社会構成や団体における役割と活動を検討する。それにより男女の秘密結社史という新しい視座から、旧体制から近代への移行期の社会編成やソシアビリテのあり方を理解するすることを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、近世ブリテン諸島で男性組織として出発した秘密友愛団フリーメイソン団が18世紀フランスに伝播・定着する過程で女性を受け入れ始めた動機と背景を検討し、団体における女性の地位や役割を分析することで、旧体制から革命期までのエリート層の生活様式ややジェンダー秩序の特徴を解明することを試みた。フランスの国立文書館や国立図書館、フリーメイソン団体で収集した史料を読解することで、男性が女性の排除と受容を正当化する論理や表象、男性側が女性に期待した役割、女性の活動実態、とくに宴会への参加や相互扶助の利用を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、日本ではまだ未開拓の分野に属する18世紀ヨーロッパ・フリーメイソン研究のなかでも、ほとんど実態が知られていない女性メンバーの地位や活動に関して、欧米の研究動向を踏まえて、一次史料の体系的分析にもとづいて行われた初めてのものである。男性友愛団における女性の受容や排除の様態を明らかにする本研究は、近世から近代への移行期にある18世紀の身分制社会や家父長制のあり方、女性解放思想の形成に関する理解を刷新することにつながる。さらに、現代日本社会におけるジェンダー平等を推進するための議論に対しても比較や考察の素材を提供できる。
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