研究課題/領域番号 |
20K22020
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
見瀬 悠 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 准教授 (70881473)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 近世ヨーロッパ / 国際関係 / 外国人 / 外交官 |
研究開始時の研究の概要 |
外国人という法的カテゴリーは、中世末期以降の君主制国家形成のなかで誕生し、近世初頭に国王主権の強化と臣民統合の進展により明確化した。外国人の待遇や権利は、国家の実定法の領域に属すと同時に、国家間関係の秩序にかかわる問題でもあるが、ウェストファリア体制下のヨーロッパで誕生した国際法は、この問題については未整備で、法的強制力ももたなかった。こうした状況で、フランス王国に滞在する外国人は、外国人であるがゆえに直面する法的・政治的な困難をいかに克服したのか。本研究はこの問いを理念的次元、社会的次元、法制度・政治的次元から複眼的に考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、国内法でも国際法でも待遇や権利が不明瞭であった近世ヨーロッパの外国人が外国人であるがゆえの困難を克服するために、彼らの同郷の外交官たちがいかなる役割を果たしたのかを検討することで、18世紀フランスにおける外国人と国家の関係をヨーロッパ国際社会の秩序形成との連関から明らかにすることを試みた。外交史や国際関係史の研究文献、パリ郊外の外務省文書館で収集した外務卿文書などの史料を読解することで、外国人が自国の外交官に保護を求めた問題の多様性や、外国人の財産の保持において外交官が果たした仲介者や庇護者としての役割と、国家が国外に滞在・居住する自国民に対して提供した保護の諸形態を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、日本ではほぼ未開拓の分野に属する近世ヨーロッパの外交官と外国人に関する研究のなかでも、ほとんど実態が知られていない外交官による自国民の保護的活動に関して、外交史や国際関係史の研究動向を踏まえ、一次史料の分析にもとづいて行われた初めての研究である。外交官の職務や規範、自国民への個別的保護の例外的性格と実際に試みられた保護の内容を明らかにする本研究は、近世の外交文化の特性や、臣民共同体と外交官を派遣する彼らの国家との関係のあり方の解明につながる。さらに、国民と国家の利害を代表する近代的な外交への移行の過程を具体的に明らかにすることにも貢献できる。
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