研究課題/領域番号 |
20K22263
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0109:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
宇野 智己 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 流動研究員 (40881785)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 視覚単語認知 / 経頭蓋磁気刺激 / 読みの流暢性 / 言語 / 音読 / 認知神経科学 |
研究開始時の研究の概要 |
流暢な「読み」のためには,文字の形態を同定し音韻情報へと変換する過程(書記素-音素変換)を素早く行う必要がある。この背景にある脳のメカニズムとして,文字形態に関わる腹側後頭皮質と,左半球の前頭皮質の間の素早い相互作用があるとされている。本研究では,後頭側頭-前頭皮質間の早い時間帯における機能連関がどのように達成されているのか,そしてそれが流暢な読みにどのように貢献するかについて,経頭蓋磁気刺激と脳磁図を用いて検討を行う。こうした早い処理過程は読みの流暢性の獲得に重要であり,その神経生物学的基盤を明らかにすることは,発達性ディスレクシアの障害メカニズムの理解に貢献すると考えられる。
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研究成果の概要 |
文字単語を「素早く読む」ことは社会生活を支える重要な能力であると同時に、発達性ディスレクシアを有する人々においては困難が残存しやすい要素である。一方で、高速な読みやその障害の背景にある認知神経学的機序は明らかではない。本研究では経頭蓋磁気刺激を用いることで、近年注目されつつある左下前頭皮質の高速活動が、読みに対してどのような機能的・因果的役割を有しているかを明らかにすることを目的とした。主要な成果として、左下前頭皮質は音読に特異的に貢献すること、そしてその活動は他の読み関連領域よりも遅く生じるわけではないことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の知見は、左下前頭皮質で生じる高速な発話処理が、従来のモデルで提案されてきたような読み処理過程の「機能的下流」では必ずしもないことを初めて示したことに学術的意義がある。さらにこうした高速な神経処理過程の機能不全は,文字を読むことの遅さ(流暢性の障害)の直接的な要因となり得ることから,本研究から得られた知見は,将来的には読字障害の原因機序解明の一助となることが期待される。
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