研究課題/領域番号 |
20K22268
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大工 泰裕 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招へい研究員 (30880322)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 嘘 / 欺瞞 / 虚偽検出 / 真偽判断 / 統計モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
人間が嘘を見破れるかを検証した研究において、その正答率は54%付近になることが幾度となく確認されている。しかし、正答率が50%をわずかであれ上回るこの現象は、どのようなプロセスを経て生じているのか未だ解明されていない。本研究では、この現象の背後には、何かしらの根拠に基づいた真偽判断とアトランダムに行われる真偽判断の2種類が存在し、それらが合わさった結果として正答率が54%付近に現れると仮説を立てた。この仮説をベイズ統計モデリングを用いることで検証する。
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研究実績の概要 |
本課題は、虚偽検出場面における真偽判断への確信度と正確さとの関連を検討することを目的とする研究である。本年度は、前年度に取得した、16の動画に対する確信度と正答率に関するデータの解析を実施した。 ベイズ統計モデリングの手法を用いて、①確信度と正答率に関連がない切片のみの回帰モデル、②確信度に比例して正答率が上昇するロジスティック回帰モデル、③確信度に比例して正答率が上昇するが、分割点において偏回帰係数が変化する折れ線ロジスティック回帰モデルの3つのモデルの比較を行った。また、先行研究では嘘を見抜く側による分散は小さく、嘘をつく側の分散は大きいことが指摘されている(Bond and Depaulo, 2008)ため、16のビデオによる違いをランダム効果としてモデルに組み込んだ。 分析の結果、②では偏回帰係数の95%HDIが0を含んでいなかったものの限りなく0に近い値となっていた。③では、分割点よりも低い確信度では②とほぼ同じ偏回帰係数が得られていたが、分割点を超えると急に分散が大きくなり95%HDIが0を含むようになった。対数尤度とWAICによるモデル比較では、①のモデルが最も当てはまりがよかった。 以上の結果から、確信度と真偽判断の正確さは関連がないという結論が得られ、先行研究である Smith and Leach(2019) の結果とは矛盾していた。未公刊研究であるLukeらの研究でもSmith and Leach(2019)の結果は否定されていたことから、確信度は真偽判断の正確さには影響しないようである。つまり、真偽判断はアトランダムな認知プロセスに基づいている可能性が高く、少なくともこの観点からは正答率54%の理由は説明できないことが示唆された。
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