研究課題/領域番号 |
20K22307
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0201:代数学、幾何学、解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 宮崎大学 (2022) 京都大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
小林 俊介 宮崎大学, 工学部, 准教授 (90880980)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 燃焼 / 燻焼 / 数理モデリング / 力学系理論 / 分岐理論 / 数値解析 / 不安定性解析 / 数値シミュレーション / 分岐解析 / 固体燻焼現象 / パターンダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,多くの燃焼現象に観測される固体燻焼を研究対象とする.現在までにいくつかの数理モデルが提案されているが,方程式の複雑さや空間次元の高さから数学解析は困難であった.よって,未だ実用上有効な燻焼モデルは構築されておらず,燻焼波面のダイナミクスは数学的に解明されていない. 研究目的は,新たな燻焼モデルを構築し,理論解析や数値解析,シミュレーションなどの多角的視点から研究を遂行することで,時々刻々と変化する燻焼波面の挙動における数学的構造を暴くことである. 本研究成果は,衣類の燻焼など現実的かつ応用性の高い問題に対し,燻焼速度や領域変化の定量的評価を計るための数理的基盤整備に繋がると期待される.
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研究実績の概要 |
2022年度は,前年度までに得られた燃焼前線の数理モデルに対する数値解析的研究,および防災の専門家との応用研究を推進した. これまでに,平面上を時間とともに同心円状に拡大する燃焼波面の数理モデルとして,曲率の影響を取り入れたKuramoto--Sivashinsky方程式の導出に成功している.このモデルに対して,Crank--Nicolson型の有限差分スキームを提案し,近似解の存在,一意性,2次の収束性を証明した.この成果については,海外の学術雑誌に投稿し,アクセプトされた. また,応用的な研究として,防災の専門家と共に蛇腹状に規則的に折られた紙の燃焼モデルの導出ならびに数値シミュレーションを援用した燃焼現象の解析を開始した.蛇腹状に規則的に折られた紙の上方から下方への燃焼において,その折幅と燃焼速度の関係性が実験的に考察されている.特筆すべきは,折り幅をある程度小さくすると燃焼速度が低下することである.本研究では,燃焼の基礎方程式の1つであるKuramoto--Sivashinsky 方程式の係数に,空間非一様性を有した数理モデルを提案した.そして,数値シミュレーションにより,燃焼速度が加速される折り幅と減少させる折り幅の双方の存在を実証した.これは実験結果を理論的に裏付けるものであり,紙の空間構造を変化させることで,燃え拡がりの伝播を抑制させる効果があることを示唆している.この成果については,2023年度日本火災学会研究発表会において講演予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は,グラフで与えられる素性の良い曲面上における燃焼前線の数理モデルの導出ならびに線形安定性解析を計画していた.しかしながら,それは容易ではないと判断した.そこで,簡単かつ単純で,しかも実際の燃焼現象において興味深い結果を与える蛇腹領域における燃焼現象に焦点を当て,研究を進めている.これは,当初の研究の構想段階においては予期していなかった研究課題であるが,曲面上の燃焼現象に対する数理解析の足がかりとなると期待される.その上,防災の専門家との研究議論の機会を得ることができ,新たな研究課題の掌握が予想される.したがって,おおむね順調に研究は進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
今後も,蛇腹領域上における燃焼現象に焦点をあて,研究を遂行していく.特に,紙の折り幅と燃焼速度との関係を理論的に解析し,燃焼速度の増減についての理論的説明を与えたい.現在,蛇腹上での燃焼波面の数理モデリング,数値計算手法の開発を継続しており,予備的研究において実験結果と同様の数値結果が得られている.この結果を理論的に解釈するためには,燃焼の実験を専門とする研究者との共同研究が必須である.現在,防災の専門家との研究議論を継続的に実施できる環境が整っており,より精力的に研究を推進していく計画である.
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