研究開始時の研究の概要 |
ゲージ理論を用いた2次元結び目の研究を行う. 滑らかな(位相的)2次元結び目とは, 4次元球面に滑らかに(連続に)埋め込まれた2次元球面のことである. 本研究は, 「滑らかな2次元結び目と位相的2次元結び目の差異」を明らかにすることを目的とする. その差異を捉えるため, 2次元結び目の手術から得られる4次元多様体上でYang-Millゲージ理論を展開する.
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研究実績の概要 |
本研究の研究目標は, 2次元結び目をYang-Millsゲージ理論を用いて研究することであった. 本研究課題の主結果であった論文「Seifert hypersurfaces of 2-knots and Chern-Simons functional」においてYang-Millsゲージ理論を用いて2次元結び目のSeifert超曲面と結び目補空間のSU(2)表現を結びつけるに至っていた. また, 前年度は, その議論を2次元トーラスがS^1×S^3にessentialに埋め込まれている場合に拡張できることを考察していた. また, 関連する議論として, 2次元トーラスとS^1×S^3のペアとしての無限巡回被覆空間を考察し, その上のYang-Millsインスタントンモジュライ空間のコンパクト性を考察し, 上記に述べた一部の結果はそのようなモジュライ空間から導かれることを考察した. また, Daemi-佐藤-Scaduto-井森-谷口の研究において特異インスタントン理論を用いて結び目の実数値不変量J(K)を導入し, そこからあるクラスの2次元トーラス結び目に対しても実数値不変量が拡張できることを考察した. これは, 2次元トーラス結び目のスライスが結び目Kである場合に, J(K)は, 2次元トーラス結び目になる, という考察を経て得られる. すなわち, スライスとなる結び目の取り方に依存しないことが分かる. このようにして2次元トーラス結び目の実数値不変量が新しく得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた2次元結び目のYang-Millsゲージ理論を用いた研究は, 論文「Seifert hypersurfaces of 2-knots and Chern-Simons functional」にまとめられ, すでに出版されている. さらにそれらの考察の2次元トーラスがS^1×S^3にessentialに埋め込まれている場合への拡張を考察している. よって, 概ね順調に進展していると言える.
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