研究課題/領域番号 |
20K22344
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0203:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 將樹 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20871106)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 宇宙の熱史 / バリオン数の非対称性 / 重力波 / 暗黒物質 / インフレーション / 物質反物質非対称性 / ダークマター / バリオン数の生成 / ブラックホール |
研究開始時の研究の概要 |
インフレーション後からビッグバン元素合成までの熱史に関する研究を通して、暗黒物質の生成や重力波の放射機構などを理解することを目的とする。特に、インフラトンの崩壊によって生じた高エネルギー粒子が従う方程式を数値的に解くことによって熱平衡化の過程を計算し、宇宙の最高温度を定量的に決定する。また、このときに暗黒物質の生成の効果も取り入れることによって、それが非熱的に生成される可能性を探求する。一方で、今後の重力波観測によって初期宇宙が探査できる時代がくると期待されている。これを受けて、宇宙初期における非自明なダイナミクスから放射される重力波のスペクトルを古典的格子計算によって数値計算する。
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研究成果の概要 |
我々を構成する物質の起源を説明する機構の1つに、右巻きニュートリノの崩壊によるシナリオが提案されていた。本研究では、右巻きニュートリノが崩壊する以前から何らかの非対称性が存在していた場合、その非対称性が右巻きニュートリノの相互作用を通してバリオン数の非対称性に転換されうることを示した。これはより広い範囲の素粒子理論においても物質を作り出せることを示している。また、研究期間中に報告された暗黒物質探査実験や重力波観測実験に対する理論的な帰結を議論し、これらのシグナルが他の宇宙観測によるシグナルと関係している可能性を指摘した。これらの成果により、宇宙の熱史に関して新たな理解を与えることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
宇宙の歴史のなかで、我々を構成する通常の物質の起源については未だに謎に包まれている。一方で、素粒子のニュートリノ振動の観測は右巻きニュートリノの存在を理論的に示唆している。本研究では、この右巻きニュートリノの質量がある広い範囲に入っていれば、宇宙初期に存在する任意の保存量がバリオン数(物質)に転換されることを示した。これにより、物質の起源を説明するシナリオとしてより広い可能性が開かれた。また、研究期間中に報告された暗黒物質探査実験や重力波観測実験の結果を受けてその理論的な解釈を議論し、現在の観測によって宇宙の謎の解明につながりつつあることを明らかにした。
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