研究課題/領域番号 |
20K22637
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
三宅 裕可里 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 特任研究員 (80874560)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジャポニカス分裂酵母 / 光応答 / 菌糸誘導 / 遺伝子発現変動 / 温度応答 / 酵母ー菌糸間形態移行 / タイマー型生物時計 / クロストーク |
研究開始時の研究の概要 |
環境変化の感知と応答は生物の環境中での生存に極めて重要である。中でも光や温度は生命の起源から存在し、地球上の生物はこれらの環境シグナルの日周変化に晒されてきた。光に対する応答の1つである概日リズムは光によってリセットされる生物時計である。よって生物が進化の過程で24時間の日周期に適応して獲得したシステムであると考えられる。真菌の一種であるジャポニカス分裂酵母は光を感知して一定時間経過後に分裂を活性化する。この酵母の生物時計は光で起動するタイマー型であり、概日リズムよりも祖先型と考えられる。本研究ではジャポニカス分裂酵母の光応答メカニズムの解明を通じて「生物時計の獲得に至る過程」の理解を目指す。
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研究成果の概要 |
ジャポニカス分裂酵母は環境変化に応じて酵母型あるいは菌糸型で増殖する。この酵母は概日リズムを持たないが、光や温度を感知して細胞分裂を活性化する祖先型生物時計を持つと考えられる。本研究では、酵母型-菌糸型の形態移行時に発現が変動する遺伝子群を同定した。また、この酵母の光・温度応答にはジャポニカス分裂酵母固有の遺伝子に加えて他の分裂酵母や真菌類にも保存される遺伝子群が関与していること、光・温度応答の情報伝達経路にはクロストークが存在することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自然環境中において光や温度は周期的に変化するが、これらは天候や季節などに大きく左右される。本研究成果からジャポニカス分裂酵母は光と温度という2つの異なる応答システムを併用することでその変化を柔軟に感知し、多様な環境下で概日リズムと同等の細胞周期制御を実現しているものと考えられる。加えて他の真菌類にも保存される遺伝子群の光・温度応答への関与が示唆されたことは、今後の真菌全体の、複数の感知システムを介した応答メカニズムの解明にもつながるものである。
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