研究課題/領域番号 |
20K22643
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
水谷 雅希 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 産総研特別研究員 (60886274)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マイコプラズマ / ゲノムクローニング / 酵母TAR法 / 合成細菌 / 滑走運動 |
研究開始時の研究の概要 |
寄生性細菌であるマイコプラズマのいくつかは、宿主細胞の表面に結合し、滑走運動することで感染部位を拡大させていく。この滑走運動は、他の生物には無いマイコプラズマ特有の運動システムによって駆動されており、その仕組みを解明することは、マイコプラズマの感染制御だけでなく、運動能の構築や進化という点においても非常に重要である。本研究では、滑走性マイコプラズマの運動を司る遺伝子群を酵母内でクローニングし、これを増殖以外の機能を持たない人工合成細菌へと導入することで滑走運動を再構築し、滑走装置の部品となる各タンパク質の機能や動きのメカニズム等を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
マイコプラズマ属細菌は動物の寄生菌であり,いくつかの種において,宿主表面に結合したまま移動する滑走運動を示すことが報告されている。本研究は,滑走運動遺伝子群をクローニングし,合成細菌JCVI-syn3.0Bに導入することで,滑走運動の再構築を目的としたものである。酵母TAR法を用いてマイコプラズマ・モービレの全ゲノムを合成細菌に導入可能なvectorとアセンブルすることに成功した。また,滑走運動遺伝子群がコードされている6つのオペロンをPCRで増幅し,それらを約3割の比較的高い効率でタンデムにアセンブルすることに成功した。これを合成細菌に導入するための形質転換実験を現在進めている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細菌遺伝子のクローニングは大腸菌を用いた実験系が広く利用されている。しかし,大腸菌ではクローニング可能な遺伝子のサイズ上限がおおよそ十数kb程度であり,全ゲノムや長鎖オペロンなどのクローニングは難しい。本研究では,酵母を用いて777 kbのマイコプラズマ・モービレの全ゲノムをクローニングすることに成功した。また合計約60 kbにもなる滑走遺伝子群6オペロンを高効率でタンデムにアセンブルすることにも成功した。これらの酵母を用いたゲノムクローニングは,汎用性が高く,手法を改変したことで高効率なクローニングが可能となったことは大きな成果であり,今後の当該分野の発展に貢献するものである。
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