研究課題/領域番号 |
20K22650
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0702:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
藤井 一希 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10881609)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 短鎖ペプチド / PKA / AKAP / 神経科学 / ゲノム編集 |
研究開始時の研究の概要 |
A-kinase anchor protein inhibitor 1 (Akain1) は中枢神経系限局的に発現する新規短鎖ペプチドである。Akain1 はプロテインキナーゼA (PKA) の細胞内局在を打ち消し、Akain1 欠損マウスは行動表現型に異常を示すことから、Akain1 が高次脳機能に重要な役割を担うことが示唆される。本研究では、① Akain1 の脳内発現様式、② Akain1 が制御するシグナル伝達経路と、③ Akain1 欠損マウスの行動異常の分子メカニズムを解明し、Akain1 による負の PKA シグナル制御が高次脳機能に果たす役割とそのメカニズムを明らかにする。
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研究成果の概要 |
抗Akain1 モノクローナル抗体及びAkain1 レポーターマウスを用いた免疫染色によって、Akain1 タンパクが大脳皮質、小脳などの介在神経に特異的に発現していることが明らかになった。加えて、Akain1欠損マウスの脳組織を用いた遺伝子発現解析の結果、Akain1欠損マウスの脳内で自閉症関連遺伝子の発現が低下していることが明らかになった。また、Akain1欠損マウスでは神経細胞内のPKA調節サブユニットの局在が野生型マウスと比較して変化していることが明らかになり、以前に培養細胞系で確認されていた PKA 局在を打ち消す作用が実際に生体内でも機能していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた結果は、マイクロタンパクであるAkain1が生体内で確かに存在・機能し文脈弁別や社会性行動といった高次脳機能に重要な役割を果たしていることを示すものである。今後、Akain1 欠損マウスが示した文脈弁別障害や社会性行動の低下などの行動表現型に PKA局在制御がどのように関与するかを明らかにしていくことができれば、PKA シグナル伝達の全容の理解とPKA-AKAP シグナル伝達の破綻を要因とする疾患の病態解明及び治療標的の探索へ大きく寄与することが期待される。
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