研究課題/領域番号 |
20K22667
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸田 和弥 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (20881931)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ボノボ / チンパンジー / 思春期 / 種間比較 / 異時性 / 性ホルモン / 発達 / 酵素免疫測定法 / 集団間移籍 / クレアチニン / エストロゲン / 尿比重 / メスの生活史 / 身体的・性的発達 |
研究開始時の研究の概要 |
メンバーシップの安定した集団で生活する動物にとって、出自集団から他集団への「移籍」は大きな潜在的コストを伴う生活史上の重要なイベントである。遺伝的に極めて近いPan属の2種、ボノボとチンパンジーの間ではメスが移籍する年齢が大きく異なる。この移籍適齢期の種差には、メスが互いに寛容で協力的なボノボとメスが排他的で特定のメスとの関係を保持するチンパンジーの社会性の違いが関与していると考えられる。本研究では、野生のボノボとチンパンジーを対象に行動観察及び尿中ホルモンの分析を実施することで、両種のメスの身体的・性的・社会的な発達パターンを精査し比較することで、メスの移籍の適応戦略を解明する。
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研究成果の概要 |
出自集団からの分散のような、発達過程にある個体の生活史イベントの生起は社会生態環境だけでなく成長・成熟段階にも大きく依存する。本研究は、近縁種であるボノボ(Pan paniscus)とチンパンジー(Pan troglodytes)のメスの発達速度の種間差を調査し、メスの出自集団からの分散時期に関与する要因を、各種の社会環境と合わせて検討することを目的とした。これまでに、野生のボノボから非侵襲的に採取した尿試料から性ホルモンレベルを分析することで、ボノボのメスが思春期の初期段階に出自集団を離れることを報告した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ボノボのメスはチンパンジーのメスよりも早い年齢で出自集団を離れる。最適戦略説に基づけば、各種のメスの分散年齢はそれぞれの社会環境に適したタイミングを反映していると考えられる。しかし、分散時またはその前後のメスの性成熟段階に関する知見は非常に限られていた。本研究は、野生のボノボのメスから尿試料を採取し、彼女らの分散時期が思春期の初期段階であることを明らかにした。本研究に続いてチンパンジーのメスを対象に同様の研究を実施することで、両種の発達パターンを考慮しつつ、各種のメスの分散戦略を検討できる。これにより、社会環境の違いが発達上の生活史イベントに与える影響について重要な知見が得られる可能性がある。
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