研究課題/領域番号 |
20K22750
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0802:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
秦 千比呂 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJセンター, 特任研究員 (70870971)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 乳癌 / hypomorph変異 / VUS |
研究開始時の研究の概要 |
乳癌ではBRCA1/2を含む乳癌関連遺伝子を対象としたマルチジーンパネルテストが開発され、疾患に関連する病因変異が検出されてきた。一方、疾患との関連が不明な変異(VUS)も数多く検出されている。VUSsは現時点で効果不明であるため、診断や疾患リスク予測に利用されていない。VUSsの一部には遺伝子機能に影響を及ぼし、疾患リスクになり得るhypomorph変異(活性の低下した変異型の遺伝子産物を発現する変異)が含まれていると考えられる。本研究では、日本最大の乳癌患者のデータセットにおいてバイオインフォマティクス解析を用いてVUSsを再分類し、hypomorph変異を同定し、乳癌との関連を検証する。
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研究成果の概要 |
本研究は乳癌における高精度なhypomorph変異予測モデルを構築を目的とした。日本人乳癌研究では最大規模であるJapanese Genotype-phenotype Archiveにて公開されている7,104例の乳癌患者および23,731例の健常者のシーケンスデータをGATKパイプラインにて解析し、変異リストを得た。得られた変異リストに機能アノテーションを付与し、hypomorph変異の検出を行った。病原変異が検出されている患者群、病原変異が検出されていない患者群および非罹患者群の3群でhypomorph変異の分布を比較し、hypomorph変異と疾患の関連を評価した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により効果不明であるために診断や疾患リスク予測に利用されていないVUSsの活用の可能性を示した。次世代シーケンサーの発展によって複数の遺伝子を対象とした網羅的な病原変異の検出が可能となり、約10-15%程度の乳癌患者において病原変異が検出されるようになった。しかし、約30%の患者において検出されるVUSsについては臨床的意思決定に利用されていない。よって、生殖系列におけるVUSs中に存在するhypomorph変異の機能解析をさらに進めることで、疾患リスク予測やPARP阻害剤など標的治療の対象となる患者を適切に選択することが可能となり、臨床的に有用な情報を提供できる可能性がある。
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