研究課題
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E4BP4はM2への分極を誘導する中心的な分子であるのか?そうであれば、このメカニズムに基づき炎症疾患が治療できるのか? 本研究はそれらの学術的問いに答える研究である。モデル動物及び培養細胞を用いて、E4BP4によるマクロファージの分極メカニズムを網羅的に解明し、そのメカニズムに基づく知見を治療へと結びつける。
概日リズムと疾病には密接な関係があり、概日リズムが乱れやすいシフトワーカーは生活習慣病や炎症疾患の発症が増加することから、概日リズム研究は疾患予防や治療に繋がると期待されている。今回、概日リズムを下流へとつなげる出力系時計遺伝子E4BP4をマクロファージ特異的に発現させたマウスを作製した。このマウスにDSSを用いて大腸炎を発症させたところ、このマウスは野生型マウスと比べ、大腸炎の重症度が軽いことが分かった。さらに検討を進めることで、マクロファージでのE4BP4は、マクロファージを抗炎症マクロファージへと分極誘導させ、大腸炎からの回復を早めている可能性が考えられた。
今回、マクロファージでのE4BP4は、マクロファージを抗炎症マクロファージへと分極誘導させ、大腸炎の重症度を低下させることが分かった。マクロファージを抗炎症へと導く転写因子はほとんど報告されていない上、疫学的にシフトワーカーなど不規則な生活スタイルと炎症性腸疾患など自己免疫疾患との関連が報告されている。今回の時計遺伝子E4BP4のマクロファージでの抗炎症作用は、こうした病態を解明する上で興味深い知見となった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
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