研究課題/領域番号 |
20K22813
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
赤穂 宗一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00882854)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / 膵腺管導管異形成 / 膵腺房導管異形成 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌発生の機序として通常膵管細胞より発生すると言われているが、近年炎症を契機に膵腺房細胞が腺管類似細胞にかわり(Acinar to Ductal Metaplasia:ADM)し、さらに遺伝子変異が加わり膵癌を形成する発癌様式が注目されている。一方、膵臓内細菌もMacrophageを介した炎症の惹起もしくは細菌そのものの直接作用により発癌に関わるとされている。 本研究では膵臓内細菌を起点としADMを介した膵癌発生のメカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
ヒト膵癌手術検体ではADM形成が癌細胞周辺で確認され、症例ごとに異なる量が観察された。膵癌内のDNAを用いた細菌叢解析ではADM量と細菌叢の種類や割合には差がなかった。一方、膵癌40症例でADMの多い群と少ない群に分類し2群間ての差を評価すると、ADMの多い群では早期に再発を来していることが分かった。In vitroの実験にてADMがOsteopontinやGalection-1を産生し、細胞外に分泌していることが明らかとなった。さらに、ADMが膵癌細胞内のAktリン酸化を促進していることが明らかになった。これらをより、ADMが癌細胞の増殖や生存への関与が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により膵癌組織内で形成される膵腺管導管異形成(ADM)が膵癌の予後に寄与することが明らかとなり、手術時の再発予後指標の一つとして検討できる可能性を有している。さらに膵腺管導管異形成がサイトカインを産生・分泌し、さらに膵癌細胞内のAktリン酸化を促進することを明らかにした。これは、ADMが膵癌の前がん病変としてだけでなく、膵癌細胞の進展に直接影響を及ぼす重要な意義を有している可能性を意味している。将来的に膵癌内のADM形成を制御し、膵癌進展の抑制する治療への展望が期待できる。
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