研究課題/領域番号 |
20K22824
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0901:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
西村 尚 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00884785)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 光免疫療法 / VEGFR-2 / Minマウス / 大腸癌 / 蛍光内視鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
新たながん治療法である光免疫療法(NIR-PIT)は、光感受性蛍光プローブを結合させた抗体化合物と近赤外光を用いて、がん細胞のみを分子標的特異的に蛍光でイメージングし、イメージングをガイドとした近赤外光の照射によって、標的細胞のみを選択的に細胞死へ誘導する治療法である。 本研究では、がん新生血管内皮細胞発現分子を標的としたNIR-PITにより、マウス大腸炎を背景として自然発症した分子発現に不均一性 (heterogeneity) を持つ大腸腫瘍の分子イメージングと、NIR-PITによる腫瘍の制御を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、ApcMin/+マウスを用いて、腫瘍内血管内皮を標的とする新たに開発された光免疫療法がマウスに自然発がんした大腸がんに有効か確認することである。血管内皮に発現するVEGFR-2を標的とした光感受性抗体化合物(DC101-IR700)を投与し、内視鏡下で腫瘍に集積する蛍光を確認した。さらに腫瘍に近赤外光を照射して光免疫療法を行い、無治療コントロールと比較して有意に良好な抗腫瘍効果が得られたことを確認した。治療後、がん細胞の消失と炎症細胞の浸潤、血管内皮のフィブリノイド壊死が観察され、病理学的にも腫瘍内の血管内皮傷害によって抗腫瘍効果が得られたことが確認された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腫瘍内血管内皮のVEGFR-2を標的とする新しい光免疫療法(NIR-PIT)がマウス大腸がんの治療として有効であることを証明した。従来の皮下移植モデルとは違い、自然発がんするマウス大腸がんモデルを用いた実験で効果を証明したため、人へ臨床応用しやすいことが期待される。この治療は正常細胞は傷害しないため従来のがん治療法に比べて副作用が少なく、より腫瘍選択的で効果的な大腸がん治療法の確立に寄与する可能性がある。これにより、患者の生存率の向上、及び生活の質の改善が期待される。
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