研究課題/領域番号 |
20K22880
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0902:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 喜弘 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90643180)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | じん肺 / 珪肺 / 肺線維症 / 破骨細胞 / RANKL / シリカ |
研究開始時の研究の概要 |
じん肺症の中で最多である珪肺は、シリカの吸引が原因であるが、肺線維症を発症する機序は不明で根本的な治療法はない。申請者は最近、珪肺患者と珪肺モデルマウスにおいて、肺胞腔内で破骨細胞分化誘導因子(RANKL)の濃度が上昇し、破骨細胞様の多核巨細胞(肺破骨細胞)が存在することを発見した。また抗RANKL抗体によって、肺破骨細胞への分化が阻害されることも確認した。そこで本研究では、肺破骨細胞が分泌する酸や蛋白分解酵素が肺線維症を引き起こすという仮説のもと、肺破骨細胞の機能解析を行い、肺破骨細胞が肺線維症の誘因となることを証明し、肺破骨細胞を標的とした新たな肺線維症の治療法を提唱することを目指す。
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研究成果の概要 |
シリカ粒子の経気道投与により珪肺モデルマウスを作製したところ、肺内のRANKLの発現が増加しており、肺胞腔内に破骨細胞マーカーが陽性の多核巨細胞(肺破骨細胞とする)が存在することがわかった。回収した肺破骨細胞を骨切片上で培養すると、骨表面にピットが形成され、骨吸収能を有することが示唆された。珪肺モデルマウスへ抗RANKL抗体を投与すると、肺破骨細胞への分化が抑制されただけでなく、繊維性肺病変の形成が抑制された。RANKLおよび肺破骨細胞を標的とした治療が有効である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
じん肺症は粉じんの吸引により進行性・不可逆性の肺線維症を引き起こす職業性肺疾患で、世界的に増加している。じん肺症の中で最多である珪肺は、シリカの吸引が原因であることが知られているが、肺線維症を発症する機序は不明で根本的な治療法はない。抗RANKL抗体は、骨粗鬆症の患者に対する使用実績から、安全性に問題がないことが証明されている。本研究で線維化肺病変の抑制効果を個体レベルで示すことができたため、速やかに臨床応用できる可能性がある。さらに石綿肺を始めとする他のじん肺症の治療に応用できる可能性も高い。
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