研究課題
研究活動スタート支援
アルドステロン産生腺腫(APA)は難治性高血圧の原因の一つであり、手術により高血圧の改善が期待できる。これまで申請者がAPAの組織を対象に施行したオミクス解析の結果から、カリウムチャネル遺伝子(KCNJ5)の体細胞変異を有するAPAに特異的に発現する遺伝子群が特定できている。本研究ではこれらの候補遺伝子が、APAの特徴であるアルドステロン合成能や腫瘍化にどのように関わっているのか、実際のAPA組織での分布も含め詳細に検討する。
本研究では、アルドステロン産生腺腫(APA)を対象にした遺伝子発現解析と、ヒト副腎皮質癌細胞由来の培養細胞を用いた機能解析を行った。ホルモン過剰をもたらすCYP11B2と同期して発現変動するカルシウムチャネル遺伝子CACNB2や、特定の体細胞変異を有するAPAでヘパラン硫酸プロテオグリカン(HS-PG)の分解に関与する酵素をコードする遺伝子HPSEを見出した。さらに、これらの遺伝子発現の制御にはmiRNAが関与していることが示唆された。
難治性高血圧の原因の一つであるアルドステロン産生腺腫(APA)は、原発性アルドステロン症の約30%を占めており、その発症メカニズムを明らかにすることは新規診断・治療法の開発につながる。本研究によってAPA発症に関与すると考えられる候補遺伝子を見出し、機能解析を開始することが出来た。候補遺伝子の制御にはmiRNAの関与も示唆されており、ホルモン分泌能と腫瘍化の両面を有する内分泌腫瘍研究に貴重な知見を与えたと言える。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Eur J Endocrinol.
巻: 185 号: 1 ページ: 179-191
10.1530/eje-20-1407
European Journal of Endocrinology
巻: 184 号: 3 ページ: P1-P16
10.1530/eje-20-1088