研究課題/領域番号 |
20K22943
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0905:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 枝里 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70634971)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 妊娠高血圧症候群 / エピゲノム / ヒトTS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
妊娠高血圧症候群(HDP)は、重篤化すれば母児の生命を左右する。HDP発症の原因として、妊娠初期の胎盤形成過程における胎盤幹細胞ニッチの脆弱化によるエピゲノムの変異が関与することが示唆されている。つまり、未分化な細胞性栄養膜細胞(CT)にエピゲノム変異が生じ、絨毛外栄養膜細胞(EVT)への分化異常が生じ、その結果、子宮内のらせん動脈の再構築に異常が起こると考えられている。本研究では、HDP患者の胎盤から得られたCT細胞のエピゲノム状態の特徴と疾患TS細胞の細胞特性の関連性を明らかにし、HDPの胎盤の動脈リモデリング不全のメカニズムについて検討する。
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研究成果の概要 |
正常妊娠3例、HDP6例について、満期胎盤由来のCT細胞をソーティングし、RNA-seq、miRNA-seqによる遺伝子発現解析をおこなった。また、CUT&TAG-seqによるH3K4me3、H3K4me1、H3K27ac、H3K36me3、H3K27me3、H3K9me3といったヒストン就職の解析、methyl-seqによるDNAメチル化の解析を行った。少数の領域は疾患特異的なパターンを示したものの、全体的に疾患の有無による違いは小さかった。これらの結果から、満期胎盤CT細胞においては、疾患の有無による遺伝子発現やエピゲノム修飾の差は比較的小さいことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、満期胎盤由来のCT細胞では正常群とHDP群の間で遺伝子発現やエピゲノム修飾に大きな差がない事が明らかになった。CT細胞は増殖を繰り返し分化する事でEVT細胞やST細胞を供給する事が主な役割である。EVT細胞は母体組織に浸潤し血管を拡張する役割を担うことから、その機能不全は血管のリモデリング不全によりHDP発症に繋がる可能性がある。ST細胞は母体との間のガス栄養交換及びホルモン産生を行い、HDP患者の血中で増加し血圧を上昇させるsFLT1もST細胞から分泌される。今回得られた結果はHDP発症につながるエピゲノム修飾の変化はEVT細胞やST細胞で起きている可能性を示唆している。
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