研究課題/領域番号 |
20K23010
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0906:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
徳永 亮太 東京慈恵会医科大学, 医学部, ポストドクトラルフェロー (80883959)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 腰部痛 / 扁桃体 / シナプス可塑性 / 慢性腰部痛 / 炎症 / CFA / FosTRAP |
研究開始時の研究の概要 |
近年の研究により,腰痛の慢性化は脳内の痛みネットワークの可塑的変化によって引き起こされている可能性が示されているが,その神経機構の詳細は未解明である.本研究では,腰痛成立時に活性化するニューロンに人工的機能分子を発現させ,腰痛の慢性化過程において,どのニューロンがどのような可塑的変化を示し、行動変化を起こすのかを明らかにする.そこで、侵害受容入力を伝達する腕傍核―扁桃体中心核路に着目し,この経路から他の脳領域へ出力する腰痛活性化ニューロンのシナプス伝達の可塑的変化と役割を明らかにする.またこれらのニューロンの選択的抑制が疼痛関連行動に及ぼす影響を評価し,新規慢性腰痛治療法の可能性を検討する.
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研究成果の概要 |
近年の研究により,腰痛の慢性化は脳内の神経可塑的変化によって引き起こされている可能性が示されているが,その神経機構の詳細は未解明である.本研究では,ラットにおいて慢性の腰背部炎症により引き起こされる広範性の痛覚過敏を確認した。腰背部慢性炎症モデルにおいて、下肢支配神経に対する電気刺激による扁桃体中心核の神経活動反応に有意な変化がみられた。このことより扁桃体の神経可塑的変化が広汎性痛覚過敏に関与していることが示唆された。また、腰背部炎症モデルの扁桃体中心核に人工受容体を発現させ選択的に抑制した結果、痛覚過敏が軽減したことから、扁桃体中心核の活動が全身的な痛覚過敏に関与していることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腰痛はその罹患率の高さや、休業や失業による経済的損失など社会に対する影響が多大である。特に慢性腰痛では器質的に原因が特定できないことが多く、有効な治療法が確立されていない。また広汎な痛覚過敏をともなうことが多く、中枢神経系の関与が疑われてきた。本研究より、慢性腰痛のような原因のはっきりとしない慢性の痛みに扁桃体が関与している可能性が示されたと考えられる。扁桃体中心核の活動抑制により広汎性の痛覚過敏が軽減したことから、今後は末梢に器質的な異常がみられない慢性腰痛症などに伴う広汎は痛覚過敏に対する治療法への応用が期待される。
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