研究課題/領域番号 |
20K23046
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
野島 瞳 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 特任助教 (40878203)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | α線源 / 小線源治療 / 口腔がん / 細胞周期 / 放射線増感法 |
研究開始時の研究の概要 |
口腔がんに対する低線量率小線源治療は有用な治療法であるが、主にγ線源を用いており、γ線に抵抗性を示すがんの存在や術者の被曝、患者の隔離などが問題となっていた。こうした問題点を解決すべくα線源を用いた新しい小線源治療法が近年イスラエルで開発され、2019年度より申請者の所属する施設で治験が開始されたものの、放射線生物学的知見は未解明な部分が多い。 本研究では、細胞周期を可視化できる細胞を用いて、α線源による細胞動態、特にG2アレスト動態の解析を行う。さらに、得られた知見を基に、細胞周期チェックポイント阻害剤を併用し、有用性を検討することで、新たな放射線治療増感法を確立することを目指す。
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研究成果の概要 |
細胞周期可視化システムであるFucciを導入した複数の細胞株を用い、α線源近傍での著明なG2アレストを経時的に捉えることができた。また、G2アレスト阻害剤であるWEE1阻害剤を併用したところ、G2アレストは解除され、細胞死が増加した。また、マウスモデルでも線源近傍で著明なG2アレストが生じていることが分かった。DNA損傷マーカーであるγH2AXの発現は、線源からの距離依存的に減少し、線源近傍では修復不能で致死的なpan-nuclear typeが検出され、α線源が周囲に及ぼす生物学的影響を初めて明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
口腔がんに対する低線量率小線源治療は有用であるが、従来治療に用いてきたγ線源は、抵抗性を示すがんの存在や術者の被曝等が問題であった。これらの問題点を解決することが期待できるα線を利用した治療法が近年開発され、従来の局所腫瘍内照射の利点とα線の破壊力を有する画期的な治療法といえる。しかし、新しい治療法であるが故に放射線生物学的知見はほとんど得られていない。また、これまで放射線治療と併用することで増感作用を示す様々な薬剤が開発されてきたが、未だ臨床応用に至っていない。α線による細胞動態を把握することでより良い治療法を開発するとともに、薬剤により増感させることが可能になれば臨床応用につながる。
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