研究課題/領域番号 |
20K23075
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0907:口腔科学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
渡邊 純奈 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (00877102)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 薬剤性顎骨壊死 / 細胞老化 / 細胞外小胞 / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
老化細胞は慢性炎症を惹起して生体機能の低下やがん、加齢性疾患の発症を促進することが知られている。研究代表者は、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死の発症機序の一つとして、薬剤性の細胞老化が疾患の発症に関与している可能性を示唆し、骨髄間葉系幹細胞由来の細胞外小胞が薬剤性の細胞老化を抑制し、正常な創傷治癒を促すことを明らかにした(Watanabe et al. JDR 2020)。そこで本研究では、①薬剤性老化機構の解明、②薬剤性老化細胞に対する細胞外小胞(EVs)由来のマイクロRNA(miRNA)の与える影響の解明、③薬剤性老化モデルラットに対するEVsを介したmiRNA老化予防法の開発を目指す。
|
研究成果の概要 |
骨髄由来間葉系幹細胞の細胞外小胞に含まれるmiRNAを網羅的に解析した結果、特異的に含まれるものを幾つか同定した。その中でもmiR-Xは細胞の老化を抑制(増殖率の増加、老化関連遺伝子の発現低下)し、ラット骨髄壊死モデルでは創傷治癒効果を認めた。また、miR-Xの一部の配列がGene-Yの一部と相補的であることから、Gene-Yの一部の配列を組み込んだルシフェラーゼベクターを製作した。ルシフェラーゼアッセイによりmiR-XがGene-Yの発現を抑制することが明らかとなった。 以上から、幹細胞由来の細胞外小胞に含まれるmiRNAは薬剤性顎骨壊死の予防に効果があることが示唆できた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
薬剤性顎骨壊死において、幹細胞由来の細胞外小胞(EVs)を治療に用いた研究は現在のところ2報なのだが、さらにEVsの含有物であるmiRNAに着目し、治療に用いているものは報告されていない。MSC由来EVsに含まれるmiR-Xの細胞老化抑制効果の同定は、先端治療における無細胞療法の有用性を考えると、有意な成果である。今後期待されるのは細胞全体を送達することなく治療を達成できるという考え方である。EVsは、そこに含まれる物質(miRNA)を安定して輸送する細胞間通信ツールとして、治療標的細胞への薬物送達に利用が期待できるため、EVsおよびmiRNAについての研究を深める必要がある。
|