研究課題/領域番号 |
20K23247
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0908:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
谷山 祐香里 愛知県がんセンター(研究所), がん情報・対策研究分野, 研究員 (00882143)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん登録 / がん / 医療の質 / 生存率 / 技術集積性 |
研究開始時の研究の概要 |
がん患者が安全で質の高い医療を受けるために、がんの特性に応じた医療提供体制が必要である。医療の質の評価指標のひとつに医療施設の技術集積性(Hospital volume)がある。本研究では、地域がん登録情報を活用し、複数のがんの部位において、Hospital volumeと患者の予後との関連を、Hospital volumeに関連する背景要因や、がん患者の予後に影響しうる要因を考慮した上で、評価する。これにより、がんの医療提供体制について議論するための知見を提供する。
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研究成果の概要 |
効果的な治療方法の開発・導入は医療の質の向上に貢献する。本研究では非小細胞肺がんを対象に、高精度な地域がん登録情報を用いて、相対生存率(当該がん以外による死亡を補正した予後指標)の推移を記述し、本邦で2002年に保険承認された分子標的薬ゲフィチニブの患者の予後への影響を検討した。ゲフィチニブを処方される可能性が高い女性腺がん患者のうち、2002年に診断された患者で、1年相対生存率の水準の上昇が明らかであった。これは、薬物療法が主治療法となる遠隔転移の女性腺がん患者で顕著であった。女性腺がん患者の予後の改善は、少なくとも部分的には、実臨床にゲフィチニブが導入されたことに起因していると示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は高精度な住民ベースのがん登録情報を用いて、非小細胞肺がん患者の予後の経年推移を記述し、一般臨床での新規薬剤による患者の予後への影響を分割時系列解析により評価した。当該薬剤が最も処方されやすい転移性腺がんの女性において、ゲフィチニブが保険承認された2002年に診断された患者で1年相対生存率の明らかな上昇が認められた。非小細胞肺腺がんの女性における予後の改善は、少なくとも部分的には、ゲフィチニブの一般臨床への導入によるものであることを示した。非小細胞肺がんの組織型の比率が欧米とは異なる本邦で、ゲフィチニブの一般臨床への導入による患者の予後への影響に関する情報を提供することができた。
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