研究課題/領域番号 |
20K23357
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
1002:人間情報学、応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
岡田 昌大 科学警察研究所, 法科学第四部, 研究員 (80874502)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 位相補正 / Electroglottography / 声道フィルタの位相特性 / 話者性・個人性 / 発話スタイル / 角度統計 / 平均位相スペクトル / 声道の位相特性 |
研究開始時の研究の概要 |
音声が関連する犯罪では、証拠として残る録音は短く手がかりが少ない。しかし、そのような状況にもかかわらず、通常の分析法ではその扱いづらさから音声の位相情報は利用されない。被疑者から音声サンプルを得る際、音声のみでなく声帯音源波形も採取することで精度良く録音の話者を推定できることが予想されるが、これに加えて、採取した声帯音源波形を用いて音声の位相を補正できれば位相の扱いづらさが緩和され、位相情報の利用により話者推定精度の更なる向上が見込まれる。 そこで本研究では、声帯音源波形をElectroglottographyにより測定し、音声と声帯音源の組み合わせによる位相補正に着目した話者推定法を開発する。
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研究成果の概要 |
本研究では、音声と声帯音源の組み合わせによる位相補正を利用して、位相の情報に基づく話者推定法を開発した。まず、目視での観察による話者識別を目指し、音声と声帯音源の実データから声道フィルタの位相特性を可視化した。可視化の結果、位相特性は同一話者の同一発話文においては一貫性があり、同一発話文でも異なる話者では異なる特徴を示した。次に、定量的な評価を行うために、可視化された位相の情報を集約した平均位相スペクトルを考案し、これを用いた話者識別実験を行った。実験の結果、話者識別の正解率は識別の閾値によらず高い値を示した。したがって、位相の情報に基づく話者識別は有効であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
特殊詐欺などの音声が関連する犯罪では証拠として残る録音は短く、犯人と思しき話者を推定するには手がかりが少ない。そのような情報が乏しい状況にもかかわらず、通常の分析法では音声に含まれる振幅のみが使用され、位相は用いられない。本研究は位相の話者識別能力を検証するものであり、それが示された今、位相利用が促進され、犯罪捜査へ貢献できるものと考えられる。また、学術的には、これまで着目されてこなかった位相への注目度が高まることが期待される。
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