研究課題/領域番号 |
20KK0087
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 (2021-2022) 名古屋大学 (2020) |
研究代表者 |
廣谷 潤 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80775924)
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研究分担者 |
大町 遼 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 講師 (60711497)
杉目 恒志 近畿大学, 理工学部, 講師 (60716398)
劉 麗君 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80809195)
山中 真仁 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任准教授(常勤) (90648221)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | ナノ熱計測 / 熱物性 / サーモリフレクタンス / 第一原理計算 / カーボンナノチューブ / ドーピング / 原子層材料 / 熱輸送制御 / 光物性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、電子工学・化学・機械工学に特徴を持つ国際異分野若手研究者を結集して、原子層材料の熱物性をキャリア量や欠陥密度を厳密に把握したうえで明らかにすることを研究目的とする。ラマン分光計測やナノデバイスによる熱・電気計測で実績のある研究代表者に加え、材料組成制御、表面化学修飾、シミュレーションなどの強力な分担者のサポートの下、高感度熱計測の1つであるサーモリフレクタンス計測やナノ界面熱輸送に関して実績のある国際共同研究者がタッグを組むことで、層状物質に関する熱輸送の国際共同研究を推進する。
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研究実績の概要 |
本年度は国際共同研究を進める熱計測手法を中心に活動を実施した。 ナノ厚さの原子層材料に対する異方性熱伝導率計測手法である周波数領域サーモリフレクタンス法の開発を引き続き実施した。光学系と測定系を改良することにより150MHzまでの高周波領域におけるレーザー加熱システムを構築することができた。通常のpump-probe光の周波数領域サーモリフレクタンス法だけでなく、ヘテロダインによる差周波による計測系とすることで、これまで20MHz以上の高周波加熱によるS/N比低下の問題を回避しつつ、より高周波での計測ができるシステムを構築することができた。構築したシステムを熱伝導率が既知の材料(酸化シリコン、酸化アルミニウム、シリコン、ダイヤモンド)に対して熱計測を行い、その有効性を確認することができた。 さらに周波数領域サーモリフレクタンス計測で表面にAuをトランスデューサー層として用いる必要があったが、Auの熱伝導率が高いが故に低熱伝導率材料に対する計測感度が低い課題があった。そこで、表面のトランスデューサー層をパターニングすることで金属を伝わる伝熱を抑制し、結果として従来と比べて低熱伝導材料の測定が可能となった。開発した本システムはガラスなどの等方的な低熱伝導率材料だけでなく異方性材料も測定可能である。さらに考案した本システムを応用することで、材料の局所加熱と温度計測が可能であることを見出した。現在、このシステムを用いて材料の熱伝導率計測や局所加熱による熱輸送の非定常現象を観測するシステムを構築中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サーモリフレクタンス法による熱計測手法を中心にラマン分光なども含めて順調に国際共同開発が進んでいる。特にサーモリフレクタンス法による熱計測では、昨年度に引き続き実験系を構築するにあたり様々な点で相互アドバイスや意見交換を実施できており、高精度な熱物性実験系を構築するうえで非常に大きな成果を得ることができている。使用する原子層材料に関しても、分散技術や、溶融塩によるエッチング技術など、多くの点で想定以上の進展がある。2022年度後半にようやくCOVID-19終焉の兆しが見えつつあるが、現地を訪問しての研究交流は最終年度に向けた課題として残っている。共同の研究会参加や交流は実施できているため、現地訪問しての研究活動に向けて活動を加速させていく。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度後半に中国の入国措置などがかなり緩和されたものの様子見を続けていたが、2023年度は航空便などもかなり通常状態に戻りつつあると判断している。最終年度は、COVID-19の影響で訪問が叶わなかった現地での研究交流を中心として活動を進める。特にラマン分光やサーモリフレクタンス法による熱計測技術などを学生の経験値を増やす形で実施することを想定して活動を実施する。
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