研究課題/領域番号 |
20KK0183
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
飯田 哲也 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (90221746)
|
研究分担者 |
沖 大也 大阪大学, 微生物病研究所, 特任研究員(常勤) (30845285)
河原 一樹 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (60585058)
|
研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 腸管病原体 / コレラ / 下痢症 / 次世代シーケンサー |
研究開始時の研究の概要 |
世界的に公衆衛生の改善による感染症の制御が進められているが、腸管感染症は未だ乳幼児や高齢者の死亡要因の上位に位置しており、喫緊の課題である。代表的な腸管疾患であるコレラは、年間およそ10万人の死亡が推定され、自然災害や交通網発達などにより流行地からの感染拡大が認められており、先進国も例外ではない。本研究で取り組む大規模ゲノム疫学調査によるコレラ菌の性状及び宿主への付着・定着機構の理解に基づいた付着阻害剤開発は、耐性菌を生み出さない新規のコレラ対策であり、抗生物質やワクチンによる治療が難しい乳幼児や高齢者も対象とした有望な治療法として腸管感染症撲滅に大きく寄与することが期待される。
|
研究実績の概要 |
コレラは依然として世界的な脅威であり、インドはこの感染症を含む様々な腸管感染症の影響を受ける主要な国の一つである。コレラの「ホットスポット」がインド国内に複数存在することが確認されており、コレラの分子疫学に関する包括的な研究が急務となっている。インド国立コレラ・腸管感染症研究所(NICED)と共同で、インド国内のホットスポットを中心にコレラ菌の臨床株を収集し、疫学調査およびゲノム解析を実施することで、コレラ菌の病原性発現の要となる宿主への付着・定着機構の解明に役立てる。コレラ菌の付着過程を妨げる付着阻害剤が設計されれば、コレラ菌は腸管に付着・定着することができず体外に排出される。これは、近年問題となる薬剤耐性コレラ菌にも有効かつその発生を抑制すると考えられることから、新規のコレラ対策としてコレラ撲滅に大きく寄与することが期待される。 令和4年度には新型コロナウイルス感染症による入出国制限が緩和されたため、インド国立コレラ・腸管感染症研究所(NICED)を訪問し、本研究内容の成果報告と今後の共同研究について話し合うことができた。また、インド政府管轄のインド医学研究評議会(ICMR)を訪問し、本研究課題とともに日本・インド間の国際共同研究の重要性について意見交換をおこなった。結果、インド側は、コレラの流行状況とともに、コルカタの健常人がコレラ菌の無症候性保菌者となっている事例(不顕性感染)に興味を持たれていることが分かった。不顕性感染事例ではコレラ菌の細胞数が少ないことが示唆されているため、次年度は高感度にゲノム情報を取得するための手法を模索する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2-3年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大のためインドへの出張を見送っていたが、令和4年度後半に入出国制限が緩和されたため、インド国立コレラ・腸管感染症研究所(NICED)、インド政府のインド医学研究評議会(ICMR)を訪問することができた。一方で、面談をする中で必要となる追加実験等も明らかとなったため、1年延長して令和5年度も引き続き本研究課題を遂行することとする。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、コレラのホットスポットを中心に各地域医療機関からあつめられた糞便試料等(感染者及び無症候性保菌者からの採取)を対象とし、サンプル中に含まれるコレラ菌及び病原性微生物の遺伝子を濃縮し、効率的に検出するシステムの開発を試みる。
|