研究課題/領域番号 |
20KK0185
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)
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研究分担者 |
長岡 克弥 熊本大学, 病院, 助教 (00759524)
古賀 友紹 熊本大学, 発生医学研究所, 講師 (30615092)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 胆管細胞癌 / エピゲノム / 遺伝子 / 代謝 / 高血糖 / 乳酸アシドーシス |
研究開始時の研究の概要 |
胆管細胞癌(CCA)は胆管上皮に由来する悪性腫瘍であり、臨床的に予後不良である。タイ肝吸虫の高感染地域でCCAの発症が極めて多く、社会的に重大な課題である。コンケン大学のSopit教授は本疾患の第一人者であり、研究代表者・共同研究者および若手研究者が双方に直接出向いた国際共同研究を実施する。患者検体から樹立したCCA細胞株を調べたところ、解糖優位または酸化的リン酸化優位の異なる代謝表現型に分類できて、外因性の乳酸アシドーシスと内因性のエピゲノム機構が重要であることを見出したため、エピゲノム機構による代謝表現型について解析し、分子病態に基づく診断法・制御法の開発に臨む。
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研究実績の概要 |
タイ国の特定の地域では、寄生虫による胆管細胞癌(CCA)と糖尿病の合併例が多いことが報告されている。国際共同研究として、エピゲノム制御の観点からCCAの代謝特性を解明し、その分子病態に基づいた癌の診断・制御法の開発に迫ることを目的とする。癌細胞における代謝とエピゲノムのリプログラミング、HIF1aやMycによる代謝遺伝子の発現調節が注目されているが、その分子機序には不明な点が多い。本研究ではエピゲノム機構による代謝戦略の切り替えという、新たな観点から癌代謝を捉える。さらに、好気的解糖の結果生じる代謝物である乳酸が微小環境のアシドーシスを生じるとともに、エピゲノム制御による代謝リプログラミングを促進する観点から腫瘍生物学的な意義の解明を目指す。 具体的には、共同研究で樹立したCCA細胞株を用いて、高血糖と酸化ストレス(グルコースとROSのレベルが高い)の条件、あるいは、乳酸アシドーシスの条件において、遺伝子発現とエピゲノムの網羅的解析、エネルギー代謝動態、癌細胞の増殖・浸潤能などの解析を実施した。その結果、乳酸アシドーシスの状態において、トロンボスポンジン 1 (THBS1)の発現誘導を介して胆管がん細胞の代謝リプログラミングと遊走性を促進する機序を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
胆管細胞癌のエピゲノムと遺伝子発現、代謝調節について、新知見を得ている。乳酸アシドーシスの状態において、トロンボスポンジン 1 (THBS1)の発現誘導を介して胆管がん細胞の代謝リプログラミングと遊走性を促進する機序に関する最先端の研究成果が出ているため。本共同研究のために、タイ王国のコンケーン大学を訪問して発表・相互議論を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の計画以上に進展してきたため、最終年度に向けて研究を推進する。
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