研究課題/領域番号 |
20KK0204
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
欠畑 誠治 山形大学, 医学部, 教授 (90261619)
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研究分担者 |
水足 邦雄 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科, 講師 (40338140)
小泉 優 山形大学, 医学部, 医員 (80723585)
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研究期間 (年度) |
2020-10-27 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 内耳 / 聴神経 / 有毛細胞 / シナプス / 聴覚再生 / ROCK阻害薬 / hidden hearing loss / cochlear synaptopathy / 再生 / 神経 / 再生医療 / 感音難聴 / 聴覚 |
研究開始時の研究の概要 |
根本的な治療法の存在しない感音難聴に対する病態に基づく新しい治療法を開発し、臨床試験を行うための橋渡し研究を日米双方の経験と知識さらには環境を最大限活用して行う。本研究は、①モデル動物を用いたcochlear synaptopathy の新規治療法確立、②難聴の原因として頻度の高いcochlear synaptopathy を呈する爆傷受傷患者のデータベース解析、③内視鏡耳科手術を応用した新しい内耳への薬物投与デバイスの開発と薬剤投与法の確立、④開発した新規治療法を臨床応用するための臨床試験の準備、の4つを目的とする。
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研究実績の概要 |
音響性や薬剤性、加齢性聴覚障害の初期病変として内有毛細胞と蝸牛神経間のシナプス病理、Cochlear Synaptopathyの病態が注目されている。本病態に起因する聴覚障害(Hidden Hearing Loss)は、有毛細胞自体の障害は伴わず、内有毛細胞・蝸牛神経間のシナプスの減少を認める病態で、一見正常な蝸牛機能を持つがその後の聴覚予後に影響を与える。本研究では、Cochlear Synaptopathyモデルマウスを作製し、神経保護効果および神経・シナプス再生作用を有し、かつ人体に安全であるROCK阻害薬を用い、内耳障害における内有毛細胞・蝸牛神経間のシナプス再生を検証し、新規内耳再生治療の可能性を検討する。 2020-2021年度はcovid-19パンデミックにより積極的な国際共同研究は難しかったが、国内共同研究者である防衛医科大学校の水足らとの共同研究として、laser-induced shock wave(LISW)を用いたCochlear synaptopathyモデルに対するROCK阻害薬の効果の検討を行い、結果をまとめて国際論文発表をおこなった。 2022年3月より共同研究者の小泉が国際共同研究先であるHarvard Medical SchoolのEaton-Peabody研究所に着任した。本年度はAaron Remenschneider氏との共同研究として、爆傷障害によるCochlear Synaptopathyモデルマウスの作製を試みた。爆風の強度を調節することで、およそ165-170dBの2-6回の爆風に暴露することで、鼓膜穿孔を生じずに一過性閾値上昇を示す個体を確認できた。本研究で用いた爆傷傷害システムにより効率的にCochlear Synaptopathyモデルを作製可能であることが示されたため、結果をまとめて国際学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19のパンデミックのため、共同研究者の小泉が国際共同研究先であるHarvard Medical SchoolのEaton-Peabody研究所に着任するのが2022年の3月になってしまい、国際共同研究の開始が当初よりも遅れてしまった。しかし、着任後ただちに共同研究に着手しており、動物モデル作製に関する結果をまとめ、すでに国際学会での研究報告も行った。一方、パンデミックの影響で研究代表者らによる米国現地での打ち合わせはできていないが、リモート会議で対応している。現在は引き続き作製したcochelar synaptopathy動物モデルに対するROCK阻害薬の効果の検討も開始しており、本研究の補助期間を延長したことにも伴い、当初の予定通りの実験計画を実行できている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、ROCK阻害薬の蝸牛神経障害に対する再生効果をin vivoの実験系で検討することが目的である。蝸牛神経障害モデルの評価には正常群と障害群の比較評価、治療効果判定には障害群(生食投与コントロール)と治療群(ROCK阻害薬局所投与、ROCK阻害薬全身投与) の比較検討を行う。1. 障害前の機能評価、2. 音響障害、3. 24時間後に機能評価を行い、一過性閾値上昇を示した個体を選別し形態学的評価、4. 各グループに振り分けて薬剤投与、5. 治療終了時の機能評価・形態学的評価の流れで行う。蝸牛神経障害モデルの作製、ROCK阻害薬の投与方法、蝸牛神経障害およびROCK阻害薬の作用についての機能的・形態学的解析が本研究のキーポイントとなる。 Harvard Medical School, Eaton-Peabody研究所のAaron Remenschneider氏との新たな障害モデルを用いた検討を開始し、爆傷によるcochlear synaptopathy動物モデルの作製が可能となったため、今年度は実際にROCK阻害薬を投与し、その効果について検討を行う。一方、パンデミックの影響で延期となっていた研究代表者らによる米国現地での打ち合わせを行う。
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