研究概要 |
平成22年度の研究実施計画として設定した2つの課題に対して以下の成果を得た. 1.マイクロ構造を利用した共培養チャンバの設計と製作 2つの独立した共培養系をマイクロ通路で結合する細胞培養チャンバの製作プロセスにつき検討した.PDMS (poly-dimethylsiloxane)を利用して,2つのマイクロチャンバとそれを結ぶトンネル構造を形成した。2つのマイクロチャンバに播種した細胞をそれぞれPKH26,67蛍光色素で染色し,細胞体の分離培養が維持されていることを確認した.両領域の底面に設置したマイクロ電極群による細胞電気活動記録により,領域間に機能的なシナプス結合が形成されていることがわかった. 2.高頻度刺激により誘導される可塑的変化に対する神経調節物質の効果 MEA (Micro-Electrode Array)基板上に形成した大脳皮質培養神経回路において,ACh受容体に対するアゴニストであるCarbachol投与に対する細胞内Caイオン濃度上昇と自発電気活動の亢進が誘導されることを確認した.自発電気活動亢進の条件下で,重畳して観測される誘発応答の検出・解析手法確立に向けてさらに検討を要することがわかった.
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