本研究では、福祉用具の利用後の問題や満足度の実態について明らかにすることを目的とした。加えて、長期的利用を目指すための福祉用具に対する工夫という利用者側からの取り組みに着目し、福祉用具利用における工夫の取り組みとその関連要因について明らかにすることを目的とした。回答のあった身体障害者109名のうち、福祉用具を「利用している」と答えた95名を分析の対象とした。得られた結果は、以下の3点に集約できる。第一には、福祉用具を利用する前および利用した後のいずれにおいても、問題を抱えていた人が存在していたことである。第二には、福祉用具の満足度には、福祉用具の利用後の問題の有無が関連していたことである。第三には、福祉用具に対する工夫の取り組みには、本人による福祉用具の自己決定が関連していたことである。今後は、福祉用具に対する工夫という取り組みを手がかりとして、福祉用具の継続的な利用に影響を及ぼす要因について検討していくことが課題である。
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