研究概要 |
多発性硬化症,視神経脊髄炎の臨床像,とくに特異的とされる抗アクアポリン4(AQP4)抗体産生に対して,感染状況,遺伝学的背景,サイトカインプロファイルが与える影響を明らかにした。抗AQP4抗体陽性例では,ピロリ菌感染率が抗AQP4抗体陰性の通常型MSより有意に高く,抗NAP抗体価は障害度と有意な正相関があり,抗NAP抗体陽性例では好中球の産生するミエロペルオキシダーゼ活性が抗NAP 抗体陰性例より有意に高かった。遺伝学的背景については抗AQP4 抗体陽性例では,HLA-DPB1*0501の頻度が健常対照より有意に高く,HLA-DRB1のなかではHLA-DRB1*12が疾患感受性遺伝子アリルとなっていた。遺伝子相互作用に関しては,HLA-DRB1*09/15は抗AQP4抗体陰性多発性硬化症のリスクを下げる一方,HLA-DRB1*12/15は抗AQP4抗体陽性MSのリスクを増大させた。またサイトカインプロファイルについては視神経脊髄炎群では多発性硬化症群と比較してIL-6,IL-8,IL-17,IP-10が有意に高かった。またIL-6,IL-8,GCSFは採取時のEDSS,髄液中の好中球数と正の相関が見られ,IL-8とGCSFは脊髄の最大病変長との関連が見られた。
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