研究課題
若手研究(B)
本研究は、PETを用いて未治療統合失調症の脳内ドパミン・トランスポーター(DAT)密度と脳内ミクログリアの活性化を測定することによって、統合失調症の病態におけるミクログリアの活性化とドパミン神経系の異常を明らかとすることを目的とする。対象は、初発未服薬統合失調症患者15名、および、年齢・性別・教育歴を一致させた健常対照者15名とした。PETスキャンは浜松ホトニクス社製頭部専用PETスキャナSHR12000を用い、トレーサーとして、[^<11>C]β-CFT(DATを標識)および[^<11>C]PK11195(活性型ミクログリアを標識)を用いた。PET計測前に撮像したMRIから尾状核、被殻、前部帯状回、前頭前野、小脳に関心領域(ROI)を設定し、これらROIにおける[^<11>C]β-CFTの時間放射活性曲線からMRTM2を用いて結合能を求め、これをDAT密度の指標とした。また、各ROIの[^<11>C]PK11195の時間放射活性曲線と健常者の標準時間放射活性曲線とからSRTMにより結合能を求め、これをミクログリア活性化の指標とした。これらDAT密度、ミクログリア活性化を、統合失調症患者群と対照者群とで比較した。ROIごとの比較には二元配置分散分析を、全脳のvoxelレベルでの比較にはSPM5を用いた。その結果、DAT密度については、尾状核、被殻、前部帯状回、前頭前野、眼窩前頭皮質、および、海馬の各ROIにおいて2群間に有意の差はなかった。一方、ミクログリア活性については、統合失調症患者において、眼窩前頭野、帯状回を含む大脳皮質の広汎な部位で、[^<11>C]PK11195結合能が対照よりも有意に高かった(p<0.035)。今後、統合失調症の病態に果たすミクログリアの役割を明らかにしていく必要があると考える。
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Parkinsonism Relat Disord. Suppl 3