研究概要 |
BRAK/CXCL14は抗腫瘍作用を示すケモカインであるが,その受容体を含め作用機序は完全に解明されていない。本研究課題では,BRAK は細胞外で血管新生促進性因子であるIL-8やVEGFと直接結合し2量体形成を阻害するという仮説の基,BRAKのIL-8およびVEGFと結合領域を同定しBRAKと他のケモカインの相互作用を解明し新規抗腫瘍療法を構築することを最終目的としている。平成22年度は、BRAKおよびIL-8,VEGFの結合を確認するためにFLAG発現システムを用いてFLAG-BRAKベクターの作成後,口腔扁平上皮癌細胞(HSC-3)に遺伝子導入しFLAG-BRAK安定発現細胞株を作成した。平成23年度は、FLAG-BRAK安定発現細胞株にIL-8,VEGF添加後回収し,培養上清を免疫沈降法にて精製してIL-8,VEGFとの結合について検討した。その結果,本実験条件において細胞外に分泌されたBRAKはIL-8との結合することが確認された。また,BRAKは血管内皮細胞の遊走を抑制することが報告されていることからBRAKはIL-8の2量体形成を抑制し血管新生抑制作用をことが示唆される。これらの結果から,BRAKとIL-8の結合様式を詳細に検討し,結合配列に相同性のあるペプチドを用いた血管新生阻害剤に応用することが可能になると考えられる。
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