研究概要 |
本研究は,フランスの商人が記した最古の会計帳簿であるリヨンの毛織物業者の会計帳簿の断片(1320-1324)を解読し,分析することで,簿記書が出版される以前に記された,当該帳簿において簿記・会計に関する知識がどのようなものであったかを明らかにしようとするものである。考察の結果,当該帳簿は,概ね記録者Johanym Berguenの債権に関する記録で,一部Johanym Berguenの債務も含まれることが明らかになった。とくに,会計史の観点から着目に値する事項として,債権および債務の発生に関し,いずれも動詞「devoir」により示し,主体を変化させて表していたことが挙げられた。
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