研究課題/領域番号 |
21H00565
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
浅倉 有子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 特任教授 (70167881)
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研究分担者 |
宮腰 哲雄 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (00062018)
谷本 晃久 北海道大学, 文学研究院, 教授 (20306525)
菅原 慶郎 東京理科大学, 教養教育研究院北海道・長万部キャンパス教養部, 講師 (30865449)
本多 貴之 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (40409462)
三浦 泰之 北海道博物館, 研究部, 学芸主幹 (50300843)
松本 あづさ 藤女子大学, 文学部, 准教授 (90510107)
清水 香 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (70751816)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | アイヌ / 伝世漆器 / 科学分析 / シャスコタン島 / 緑漆行器 / 蝦夷文化考古館 / 近代アイヌ史 / モノ資料 / 漆器 / 塗膜片 / 吉田菊太郎 / 北千島 / 新ひだか町博物館 / 塗膜分析 / 近代 / 余市町すいさん博物館 / 文書 / 文理融合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治以降のアイヌの社会と文化について、アイヌが用いた漆器を通して検討するものである。いわばアイヌ文化を「モノ」と「文書」の両面からたどる試みである。そのため、a文書史料、b絵画・映像資料の調査・検討、c現有漆器の観察調査(形状、色調、技法等の検討)、d漆器の科学分析(剥落した塗膜片・木胎片の科学分析等)という、文理融合の四つの手法によるアプローチを試みる。それらの成果の統合によって、近代の北海道からサハリンに至るアイヌの社会と文化の様相について明らかにしていく。つまり、総体として近代、とりわけ「北海道旧土人保護法」下におけるアイヌ民族の有した文化的力量を明らかにする研究である。
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研究成果の概要 |
近代におけるアイヌ民族の社会と文化について、主に漆器を通して検討するという本研究課題の目的は、概ね達成したと考える。中でも、幕別町蝦夷文化考古館所蔵のアイヌ伝世漆器について年代・産地の同定・考察を行なったこと、新ひだか町博物館・余市水産博物館の伝世・出土漆器、北千島のシャスコタン島の出土漆器の科学分析を行ったことは、大きな成果である。文献史料の成果としては、近代アイヌ史の蓄積への貢献と、近世・近代移行期論に寄与した点があげられる。さらに、アイヌ絵に描かれた漆器を分析し、アイヌ・和人間の関係の変質を論証した点など、総体としてアイヌに関わるモノ資料研究を大きく前進させたことを成果としたい。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
北海道内の博物館等の所蔵漆器の年代と産地、地域性の差異を、明確にしたことである。帯広・幕別などの日高山脈以東の道東地域と、以西の日高地域等では伝世漆器の特徴が異なっており、地域的な差異が存在することが判明した。さらに一時的に下火になるものの、近代以降戦前に至るまで、連綿としてアイヌ向けの漆器が特注されていたことを明らかにした。緑漆行器の実在を初めて確認するという成果もあった。加えて、個別実証研究の必要が叫ばれつつも、意外に成果に乏しかった近代アイヌ史の蓄積への貢献と、近世・近代移行期論に寄与した点を成果としてあげたい。青森県内の民俗資料とアイヌ伝世漆器との共通性の発見も附言したい。
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