研究課題/領域番号 |
21H00781
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長谷 正人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40208476)
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研究分担者 |
菊池 哲彦 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (10419252)
前川 修 近畿大学, 文芸学部, 教授 (20300254)
加藤 裕治 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (20633861)
川崎 佳哉 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, 助教 (50801792)
松谷 容作 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (60628478)
大久保 遼 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (60713279)
増田 展大 九州大学, 芸術工学研究院, 講師 (70726364)
角田 隆一 横浜市立大学, 国際教養学部(教養学系), 准教授 (80631978)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 自撮り / メディア文化 / スマートフォン・カメラ / コンヴァージェンス・カルチャー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、21世紀社会における映像文化の変容を「自撮り」の隆盛という視点から捉える。20世紀の大衆的な映像文化においては、人びとが専門家による商業的作品を「受容」する立場で楽しんでいた。しかし21世紀社会におけるカメラ付き携帯電話の普及によって、写真撮影自体の大規模な大衆化と日常化が起き、誰もがいつでもどこでも写真や動画を楽しんで撮影し、それらがSNSを通して社会を大量に流通するようになった。このような新しいメディア環境を考察するにあたって、私たちは「自撮り」に注目したい。人間は、自らをカメラで撮影する/されることを通して、どのような意識を持ち、どのような文化を生み出しているかを考える。
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研究実績の概要 |
昨年度は全部で5回の会合を行った。第1回会合は5月28日(土)14:00(Zoom)に、自撮り文化において人はどのような自意識で自分を撮っているのかを考えるために、美容整形を社会学的に研究されてきた谷本奈穂氏をお呼びして「調査からみる現代日本の美容整形」という題名でお話し頂き、全員で議論した。 第2回会合は8月27日(土)14:00(Zoom)に、分担研究者の松谷容作が「共にあることの映像についての一考察」について、増田展大が「最近の自撮り研究について調査報告」について報告し、今後のこの研究会の方向性に関して議論した。 第3回会合は10月29日(土)14:00(zoom)に、第4回会合は12月10日(土)14:00(zoom)に、両日とも、GoProカメラによる自撮り写真文化を論じた、Lisa Cartwright and D.Andy Rice,"My Hero: A Media Archaeology of Tiny View Finderless Cameras as Technologies of Intra-Subjective Action", The Scholar & Feminist Online,13-3,14-1, 2016.を、松谷容作、増田展大を報告者にして精読し、議論した。 第5回会合は2023年2月4日(土)14:00(zoom)において、スマートフォンカメラにおける感知能力という問題を論じた Doron Altaratz,Paul Frosh,"Sentient Photography:Image‐Production and the Smartphone Camera" in Photographies 14(2),2021,pp.243-264を、前川修と菊池哲彦を報告者にして精読し、議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は全5回の会合を通して、昨年度の議論を進展させる、充実した議論を行うことができた。 とくに前年度後半から今年度最初にかけては、日本のメディア文化研究者を研究会にお呼びして、①プリクラなど現代の若い女性の自撮り文化、②70年代ラブホテルに見られた性行為の自撮り文化、③若い女性たちの美容整形文化と、日本の自撮り文化に限定した社会学的な議論を追いかけてきた。 それに対して本年度後半は、こうした日本に限定した自撮り文化の社会学的研究を、より普遍的な、カメラを使ったメディア文化として開かれた研究にするために、最新の海外の研究を参照することにした。とくにリサ・カートライトが書いたGoPro論とポール・フロッシュが書いたスマートフォン写真における感知能力(つまり撮影者を感知する能力)に関する研究論文を全員で精読することを通して、この研究会全体でメディア文化、映像文化としての「自撮り文化」にどのように接近したらよいかという問題意識をある程度共有できるようになった。あとはこれをどのように個々人の研究として発展させていくかが次年度の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度に当たるので、これまでの議論と研究成果を踏まえて、各自が「自撮り文化」にどのような視点で接近していくかを検討する予定である。とくにこの研究会では、現在のスマートフォンを使用した「自撮り文化」を検討するにあたって、一見自撮りとは無縁だった、過去の写真と映画の文化のなかに、自撮りの起源を見出すような研究を展開することを目指している。それがメディア文化史に関して類例のない豊富な知識を持つ、本研究グループの研究の特徴になると思われる。
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