研究課題/領域番号 |
21H00826
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
梅原 利夫 和光大学, 現代人間学部, 名誉教授 (10130858)
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研究分担者 |
山本 由美 和光大学, 現代人間学部, 教授 (00442062)
高坂 康雅 和光大学, 現代人間学部, 教授 (00555253)
金子 泰之 静岡大学, 教職センター, 講師 (00710641)
大日方 真史 三重大学, 教育学部, 准教授 (00712613)
岡田 有司 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (10584071)
富樫 千紘 和光大学, 現代人間学部, 講師 (10803520)
佐貫 浩 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (60162517)
御代田 桜子 松本大学, 教育学部, 講師 (60868199)
都筑 学 中央大学, その他部局等, 名誉教授 (90149477)
金馬 国晴 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (90367277)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 小中一貫教育 / 小中一貫校 / 教育課程 / 発達心理学 / 学校間移行 / 義務教育学校 / 学校統廃合 / 公共施設再編 / 教育課程論 / 小中一貫カリキュラム / 公共施設等総合管理計画 / 子どもの精神的健康 / 学校制度 |
研究開始時の研究の概要 |
全国で増加する小中一貫校、特に施設一体型の小中一貫校について、その教育的効果およびデメリットを心理学、教育学双方の研究手法を用いて科学的に検証することを目的とする。政策的に後押しされ、統廃合の方途としても用いられる小中一貫校は増加している。 特に全国の小中一貫校と非一貫校の子ども、保護者、および教職員の意識調査(大規模アンケート調査)を軸に据える。そのような結果を生みだす背景について、教育政策分析、地域調査、教育課程及び生徒指導などについて教育学的な検証を併せて行う。、
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研究実績の概要 |
(1)心理学グループによる大規模縦断調査の初年度調査(小6対象)を行った。施設一体型小中一貫校と非一貫校の児童・生徒を比較して、小6から中1に学校間移行する際に、精神的健康度に関してどのような変化があるのか、全国の学校を対象に比較研究を行った。施設一体型一貫校では、同一の施設間(義務教育学校の場合は同一の学校)での移行であるが 非一貫校では、異なる中学校への進学になる。それが児童・生徒の意識にどのような影響を及ぼすのかを検証することで、施設一体型一貫校の教育的効果とデメリットを明らかにしようとする調査である。 (2)小中一貫校の地域事例研究として、教育学グループが北海道宗谷地区の中頓別町の義務教育学校開設の計画について訪問調査を行った。人口約1600人の村で、小規模な小学校と中学校を統合して義務教育学校にする計画が、町長、教育長らの主導で行われている。近年、地域に学校を存続させるために、小規模な小中学校を義務教育学校にする事例が特に北海道で多く見られる(年間二十数校のうち約5校程度)同町では、給食費無償化、認定こども園無償化多くの教育条件整備が進められ、その一環として地域に根ざした学校づくりが進められている。 (3)小中一貫校の教育課程研究として、教育課程・カリキュラム研究グループが小中一貫教育を裏付ける安彦忠彦氏らの教育学理論の検討を行った。当初、小中一貫教育が導入された際に多かった「4・3・2」制について検討を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、心理学グループによる縦断調査の前半調査、地域事例調査(北海道)、教育課程研究を中心的に行った。 (1)心理学グループによる大規模縦断調査の初年度調査(小6対象)を行った。これは2023年度の中1対象調査に継続される。施設一体型小中一貫校と非一貫校の児童・生徒を比較して小6から中1に学校移行する際に、精神的健康度に関する指標についてどのような変化があるのか、全国の学校を対象に行った。2学期までにアンケート票を作成して郵送し、3学期までに収集を行い、現在分析を行っている。ただし非一貫校で、小学校と中学校が別の学校になるため、アンケート協力校を特定することに困難な点があった。そのために学校、自治体に直接依頼する手法に加えて、民間の調査機関を利用した。小中一貫校については、規模の異なる多くの調査協力校に依頼することができた。 (2)地域事例研究として、教育学グループが北海道宗谷地区の中頓別町の義務教育学校開設の計画について訪問調査を行った。人口約1600人の村で、小規模な小学校と中学校を統合して義務教育学校にする計画が、町長、教育長らの主導で行われている。近年、地域に学校を存続させるために、小規模な小中学校を義務教育学校にする事例が特に北海道で多く見られる(年間二十数校のうち約5校程度)同町では、給食費無償化、認定こども園無償化多くの教育条件整備が進められ、その一環として地域に根ざした学校づくりが進められている。夏季休業中でもあり、実際に学校の授業見学をすることはできなかった。 (3)小中一貫カリキュラム研究として、教育課程研究グループが、安彦忠彦氏など主要な関係領域の教育学者の小中一貫教育課程論の検討を行った。当初の導入理由であった「中1ギャップの解消」などに科学的根拠がないことが指摘されているが、新たな科学的根拠を提起できるのか、今後の検討課題ともなっている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、(1)心理学グループによる大規模縦断調査の2年度調査(中1対象)を行う予定である。施設一体型小中一貫校と非一貫校の児童・生徒を比較して小6から中1に学校移行する際に精神的健康度に関する指標についてどのような変化があるのか、全国の学校を対象に行うが、前年度調査研究協力校に依頼する。この2年間の調査結果を分析して、一貫校と非一貫校の小・中学校間移行時の変化の比較研究として、社会的に公表することを予定している。 (2)地域事例研究として、過疎地の小規模校な小中学校が「義務教育学校」に移行するケース、もしくは希望しているケースを取り上げる。前年の北海道の事例に加え、高知県四万十市の保護者、住民が中学校を地域に存続させるために新たな義務教育学校の開設を望むケースなどが挙げられる。他方、埼玉県などの都市部で大規模な「義務教育学校」開設計画が進められているケースについても調査研究を行う。公共施設再編を背景に、複数の学校を「収容」型の大きな施設にまとめようとする計画が進められている。教育学的な検証が必要であると思われる。 (3)教育課程論研究として、小中一貫校の「4・3・2」制カリキュラムについて検証を深める。まず主な論者の研究について文献研究を行う。必要があれば実際に小中一貫校への訪問調査を行う。最終年でもあり、後半では各グループの研究成果をまとめて社会的に公表していく。
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