研究課題/領域番号 |
21H01005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
羽田野 直道 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70251402)
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研究分担者 |
小布施 秀明 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50415121)
井村 健一郎 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90391870)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 非エルミート量子力学 / 開放量子系 / 輸送 / 伝導現象 / 非平衡量子力学 / 量子伝導 / 電流の定義 / 非エルミート系 / 非平衡 / 輸送現象 / ランダウアー公式 / PT対称 / 電流演算子 / 左固有ベクトル |
研究開始時の研究の概要 |
非エルミート系の非平衡輸送現象・伝導現象の理論的枠組みを開発し、それを契機として非エルミート系における物理量の一般論を構築します。カレント演算子の定義についての問題意識を持つことから出発し、非エルミート系に対する輸送現象の実験に正しく対応する理論を開発します。最初に、非エルミート系の両端にエルミートな電極・熱浴をつけた状況をつくり、ランダウアー公式を使って輸送現象を考えます。次に、ランダウアー公式と線形応答理論・ケルディッシュ形式との対応を用いて、非エルミート系に相応しいカレント演算子を導きま す。その成果を踏まえて、より一般に物理量の演算子をどのように定義するか明らかにします。
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研究成果の概要 |
非エルミート量子系は新しい分野として成長しつつあります。本研究では非エルミート系の伝導現象の理論的枠組みを開発しました。非エルミート系では物理量の定義に注意が必要で、例えば実験に対応する電流演算子が何であるかは不明でした。しかし、このような問題意識は広く共有されているとは言えません。現在のほとんどの理論は非エルミート・ハミルトニアンの固有値と固有ベクトルを調べているだけで、物理量に非エルミート性がどのような影響を与えるのかは、ほとんど研究されていませんでした。本研究では電流演算子の定義についての問題意識を持つことから出発し、非エルミート系での輸送現象の実験に正しく対応する理論を開発しました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
量子力学の講義ではハミルトニアンはエルミート演算子であるべしと倣います。しかしこれは孤立して閉じた系の量子力学です。現実には孤立した量子系など存在せず、環境と結合してエネルギーや粒子をやりとりしたり、測定器を結合させて測定データを得たりします。このとき、注目する量子系ではエネルギーが保存せず、そのハミルトニアンは決してエルミート演算子ではありません。 これまでは実験で、外界の影響を排除するために多大な労力と資金を投じてきました。外界の影響を考慮済みの非エルミート量子力学が発展すれば、むしろ外界の影響を利用した実験ができるでしょう。それは物理学にパラダイムシフトを起こすでしょう。
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