研究課題/領域番号 |
21H01102
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
青木 和也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (70525328)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2021年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | カイラル対称性 / ベクトル中間子 / 質量 |
研究開始時の研究の概要 |
ハドロンの質量の大部分は、基底状態である真空が自発的にカイラル対称性を破ることにより獲得されると考えられている。本研究では原子核という高密度環境を利用して真空を変化させ、それにともなうハドロン質量を測定することで、ハドロン質量獲得機構を実験的に研究する。本研究は原子核標的サイズ依存性、ベクトル中間子の運動量依存性に加えて、衝突径数依存性をとらえることでより系統的な研究を行おうとするものである。
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研究実績の概要 |
カイラル対称性回復現象の系統的研究を遂行する為に、J-PARC E16実験の準備を引き続きすすめている。実験標的近くの高レート環境での荷電粒子飛跡検出を可能とする、シリコン検出器(SSD)を引き続きドイツGSIとの共同開発で進めた。最内層で場所の制約が厳しい中、センサー本体とフロントエンド読み出し回路までを光・ノイズ遮蔽性能をもってサポートするチェンバーが必要であった。今年度は最終設計・製造を完了した。センサーとフロントエンド回路を結ぶアナログ信号伝達ケーブルがウクライナ製で、戦争の影響でカスタムメード不可能となってしまった。当該ケーブルはたわみがノイズの原因となるため長さまで厳密に設計したものだった。そこで既製造品から選定して配置を見直し、対応できるようにした。同時に、ビームの直接照射を回避しつつ光・ノイズ遮蔽性を担保したビーム用開口部の設計・製造も完了した。また回路の冷却が必要であり、そのための冷却チラーとその配管を準備・設置した。GSIで製造していたSSD本体が完成、日本への輸送が完了した。検出器の実験室における単独テストを進めている。一部ケーブルの剥がれなどが見られたが補修の上テストを行い、充分低いノイズレベルが得られていることを確認した。 フロントエンド回路でデジタル化された信号の伝達距離を60cmから15mへ延長する必要があった。劣化の少ないケーブルを選定(Cat6a)また信号増幅中継器を設計・製作することで実現した。 新しいSSDインストールの為には、SSDのさらに中に入れる実験標的容器の架台変更が必要で、新しい架台を製造した。 また、同時に荷電粒子へのアクセプタンスを拡張するための、内側から2・3層目のトラッキング検出器としてGEMトラッカーについて、前年度調達した部品を組み立て、信号確認、インストールまで完了した。また、必要な回路・ケーブルなどを調達した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正確な長さでたわみなく配線する必要があったケーブルを、場所の制約からカスタムメードでつくる予定だったが、戦争の影響で製造できなかった。しかし設計変更でなんとか対応でき、実機用サポートを製造できた。 GEMトラッカーについても予定通り組み立てを完了し、インストールを終える事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はJ-PARC E16実験の最内層トラッキング検出器であるシリコン検出器(SSD)を完成させる。個々のセンター単独試験をへて問題をあらいだし、実機にセットアップして実験エリアにインストールを行う。新しく設置したGEMトラッカーも含めて本年度予定しているビームを用いてコミッショニングを行い性能評価を行う。
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