研究課題/領域番号 |
21H01170
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
加 三千宣 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (70448380)
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研究分担者 |
齋藤 文紀 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 特任教授 (00357071)
土居 秀幸 京都大学, 情報学研究科, 教授 (80608505)
坂口 綾 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00526254)
大森 貴之 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (30748900)
松岡 數充 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (00047416)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | 人新世 / GSSP / 別府湾 / 海底堆積物 / 別府湾堆積物 / DNA層序 / 標準模式地 / 環境DNA / 放射性核種 / 渦鞭毛藻 |
研究開始時の研究の概要 |
人新世(Anthropocene)は、Crutzen博士・Stoermer博士の提案以降、様々な分野で広く使われるようになったが、未だ地質学的に定義されたものではない。その根拠となる地層境界の世界標準模式地、いわゆるGSSPが決まっていない。本研究では、人新世の始まりを特徴づける人新世キーマーカー層序のデータセットを別府湾堆積物において構築し、人新世GSSPとして別府湾海底堆積物が選定されるにふさわしい地層かを明らかにする。またGSSPの決定機関に積極的に働きかけ、日本の別府湾堆積物が人新世のGSSPに選定されることを目指す。
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研究成果の概要 |
人新世キーマーカー層序のデータセット構築により、別府湾堆積物が人新世のGSSPに選定されることを目指してきた。最長2800年前まで遡る99プロキシ記録から人為影響の痕跡が86個見つかった。特に、海底下64cmの1953年の地層を境に、人為痕跡が急増することがわかった。これが明確な人新世-完新世境界、すなわちGSSP候補層準であることが示された。これらの結果をGSSPの審査対象となるThe Anthropocene Reviewで公表した。結果として、GSSPをカナダの湖に譲ったが、他の8候補サイトを圧倒する充実したデータセットにより、標準補助模式層に最得票数で選ばれることになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、地層中に現れる人為痕跡の年代がプロキシごとに大きく異なるために、人新世開始年代を明確に答える術はなかったが、この人為痕跡数の急増に着目したアプローチにより、その開始年代が明らかとなった。この点で人新世研究の前進に大きく貢献した。本課題により得られた人新世キーマーカーデータセットの構築が評価され、別府湾は人新世の標準補助模式層に選ばれた。国際地質科学連合で人新世が否認されたという報道があったが、これで人新世の公式化の道が完全に閉ざされたわけではない。人新世の科学は、人類社会の将来展望に欠かすことができない知的財産であり、明確な開始年代は人新世の正当性を支持するものである。
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