研究課題/領域番号 |
21H01181
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
安東 淳一 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (50291480)
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研究分担者 |
富岡 尚敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30335418)
Das Kaushik 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (40634077)
竹下 徹 北海道大学, 理学研究院, 名誉教授 (30216882)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 断層運動 / 断層岩 / 脆性-塑性遷移領 / 変形微細組 / 層状珪酸塩鉱物 / 脆性-塑性遷移領域 / マイロナイト岩 / 変形集中 / 石英 / フィロ珪酸塩鉱物 / 変形微細組織 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、インド北部Uttarakhand州に露出する主中央断層に対し、断層に直交する約5kmの範囲の地質調査を行い、「プロトマイロナイト」「マイロナイト」「ウルトラマイロナイト」が露出する各領域から系統的に岩石を採取し、研究室において詳細な変形微細組織のキャラクタリゼーションを行う。この変形微細組織のキャラクタリゼーションでは、岩石中の石英とフィロ珪酸塩鉱物(黒雲母、白雲母)と長石の「形態」「粒径」「格子選択配向」「結晶内欠陥」に着目する予定である。また「プロトマイロナイト」「マイロナイト」「ウルトラマイロナイト」領域内に分布する花崗岩を原岩とする岩石に対して年代測定を行う研究である。
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研究実績の概要 |
内陸地震は石英が塑性変形する一方で長石が脆性変形する脆性-塑性遷移領域で発生する。断層岩の微細組織観察は、なぜ石英が塑性変形する場において断層が形成されうるのかという問題を解明しうる。本研究は北アルモラ衝上断層(NAT)に伴って露出する断層岩(マイロナイト)を対象として上記した問題の解明に取り組んでいる。採集したマイロナイトに対して、偏光顕微鏡、SEM、EBSD、TEMといった機器、及びImageJやMATLABのMTEXツールボックスを用いた微細組織観察のキャラクタリゼーションを行い、マイロナイト化の①温度と応力値、②歪場、③剪断方向、そして④マイロナイト化に与えた層状珪酸塩鉱物の影響の解明をもとに研究を進めている。本年度までに明らかにできたことを列記する。①再結晶石英の微細組織から求めたマイロナイト化の温度は450-550 ℃、応力値はNAT近傍では約65MPaであり、NATから離れると約40MPaと小さくなる。②再結晶石英の形態から求めた歪場は押しつぶしの場である。③非対称組織と再結晶石英のc軸ファブリックから求めた剪断方向は、インド大陸の衝突・沈み込みに整合的なtop-to-southであったが、NAT近傍のみtop-to-northである。また野外において局所的にウルトラマイロナイト化している場所もtop-to-northであった。④断層岩中に占める層状珪酸塩鉱物の量と粒径は、NATに近づくにつれて増加・細粒化し、それとともにウルトラマイロナイト化が進む。再結晶石英のc 軸の集中度は層状珪酸塩鉱物の含有量と負の相関を示す。またNAT近傍では層状珪酸塩鉱物は片理面に濃集し、片理面に平行に(001)面が配列する。石英と長石は明確に圧力溶解を受けている。層状珪酸塩鉱物には転位クリープで変形した証拠と共に、(001)面に平行な方向に引っ張りを受け破壊した痕跡が確認できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(2021年度)の研究では、まず北アルモラ衝上断層の地質調査を行うことにしていたが、コロナウイルスの影響で渡航が出来なかった。その為、申請者らによって既に採取していた約20個の岩石試料を用いて変形微細組織のキャラクタリゼーションを行うことで、研究計画には大きな支障は生じなかった。2年目(2022年度)の後期において初めて地質調査を行うことができ、これまで行ってきた変形微細組織のキャラクタリゼーションの研究と野外での地質現象のリンクを行うことができつつある。また2022年度の地質調査により新たな岩石試料を採取できたので、これまでに得られた変形微細組織のキャラクタリゼーションの結果を補うことができつつある。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末に行った地質調査の結果、およびその際に採取した岩石の変形微細組織のキャラクタリゼーションの結果、また今後行う地質調査の結果をもとに最終的な結果を導く。そして、本年度の秋ごろには論文執筆を開始したい。
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