研究課題/領域番号 |
21H01203
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小川 奈々子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), グループリーダー (80359174)
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研究分担者 |
黒田 潤一郎 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (10435836)
吉村 寿紘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (90710070)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 硫黄同位体 / 海王硫黄循環 / 酸化還元環境 / 後期更新世 / 氷期-間氷期 / 海洋硫黄循環 / 氷期ー間氷期 / 海洋酸化還元環境 / 硫黄安定同位体比 / 浮遊性有孔虫 / 炭酸置換態硫酸 / 分取イオンクロマトグラフィー |
研究開始時の研究の概要 |
過去100万年間の地球は、10万年周期の顕著な氷期-間氷期サイクルという地球史を通しても非常に激しい気候振動に特徴付けられる。本研究では、氷期-間氷期サイクルへの海洋の酸化還元環境と硫黄循環の応答を、硫黄同位体比変動の高解像度復元から解析する。代表者が開発した高精度な微量硫黄同位体比分析手法を、過去100万年間の氷期-間氷期サイクルが連続的に記録された西赤道太平洋オントンジャワ海台で採取された柱状堆積物中の浮遊性有孔虫殻化石に適用する。氷期-間氷期の数十万年単位の高解像度な硫黄動態解析には、より微量かつ高精度な硫黄同位体比分析が要求され、世界的にも研究例は限定的で知見も非常に少ない。
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研究実績の概要 |
本研究では、過去100万年の氷期-間氷期の気候変動に伴う硫黄循環の復元を行い、それをもとに海洋の酸化還元環境と気候変動の関連性を定量的に考察することを目的とする。 (1)堆積物中の「有孔虫殻化石中の炭酸置換態硫酸(CAS)」を試料とし(2)微量CAS単離精製技術と微量硫黄同位体分析技術という新しい前処理・分析技術から(3)「高解像度な硫黄同位体比記録の復元」を実施する。これまで成功例のない氷期-間氷期の短期的な気候変動と海洋の酸化還元環境変化および硫黄循環との関係性や支配要因に迫る。 初年度となる2021年度は分析手法の確認と浮遊性有孔虫への最適化および分析精度の検証を行った。研究計画は総じて順調に進行している。 代表者の小川は新たに構築した硫黄同位体比の測定システムを最適化し、硫黄量で0.8~1.4マイクログラムの微量硫黄試料での同位体測定を行った。国際標準試料等を用いた分析の再現性や精度の検証結果は国内学会等で公表した。分担者の吉村は分取イオンクロマトグラフィーを用いたCASの単離精製手法のハイスループット化と最適化を担当した。初年度はごく微量の有孔虫殻を分取イオンクロマトグラフィーに導入し分取する機構を構築し、分取イオンクロマトグラフィーを用いた極微量の硫黄の同定手法開発をすすめた。この過程で試料の前処理調整手法について、当初計画した希塩酸処理では微量分取分析では検出の不安定化をもたらすことが確認された。このため次年度はまず微量分取の安定性確保のための導入試料の前処理について新たな方法の検討を行う。分担者の黒田はMR14-02 PC04コアからの有孔虫分取を行う傍ら有孔虫殻試料の洗浄手法についての検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由初年度となる2021年度は分析手法の確認と浮遊性有孔虫への最適化および分析精度の検証を行った。研究計画は総じて順調に進行している。 代表者の小川は新たに構築した硫黄同位体比の測定システムを最適化し、硫黄量で0.8~1.4マイクログラムの微量硫黄試料での同位体測定を行った。国際標準試料等を用いた分析の再現性や精度の検証結果は国内外の学会で公表した。 分担者の吉村は分取イオンクロマトグラフィーを用いたCASの単離精製手法のハイスループット化と最適化を担当した。初年度はごく微量の有孔虫殻を分取イオンクロマトグラフィーに導入し分取する機構を構築し、分取イオンクロマトグラフィーを用いた極微量の硫黄の同定について報告した。試料調整について、当初計画した希塩酸処理が微量分取の不安定化をもたらすことを明らかとした。これをうけ次年度は微量分取の安定性確保のため、導入試料の前処理に新たな方法の検討を行う。 分担者の黒田はMR14-02 PC04コアからの有孔虫採取と解析を行う傍ら、有孔虫殻試料の洗浄手法についての検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度となる2021年度は分析手法の確認と浮遊性有孔虫への最適化および分析精度の検証を行った。研究計画は総じて順調に進行している。 代表者の小川は引き続き微量硫黄試料での同位体測定手法の安定化と最適化を進め、試料分析にとりかかる。分析はまずはいくつかの代表的な有孔虫殻試料を用いた予備測定から進め、手法の確立を図る。 分担者の吉村は引き続き分取イオンクロマトグラフィーを用いたCASの単離精製手法のハイスループット化と最適化を行う。次年度は特に初年度に明らかとなった試料前処理手法の問題点を洗い出し、微量分取の安定性を損なわない新しい前処理方法の検討に注力する。 分担者の黒田は引き続きMR14-02 PC04コアからの有孔虫採取、予備洗浄をすすめる傍ら、氷期-間氷期の短期的な気候変動と海洋の酸化還元環境変化に関するその他の古環境情報の収集に努める。
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