研究課題/領域番号 |
21H01215
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 生体力学 / 生体材料 / 細胞工学 / 心筋組織 / バイオポンプ / エネルギー変換 / 循環器 / iPS細胞由来心筋細胞 / 循環器モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、心筋における化学エネルギーから機械エネルギーへのマルチスケールなエネルギー変換機構の工学利用を目指し、その機構に関する基礎的知見を得るための実験モデルとして、iPS細胞由来心筋細胞を用いた自己収縮する原始心臓型ポンプを開発し、さらに血管を模擬したポリマーチューブと組み合わせて基本的な循環器システムを構築する。また、エネルギー変換機構を高精度で記述する数理モデルおよびシミュレーションモデルを確立することを試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の第一の目的は、心筋における化学エネルギーから機械的エネルギーへのマルチスケールなエネルギー変換機構の工学利用を目指して、その機構に関する基礎的知見を得るための実験モデルとして、iPS細胞由来心筋細胞(以下、iPS心筋細胞)とポリマー系バイオマテリアルを用いて自己収縮する原始心臓型ポンプを開発することである。さらに、拍動挙動と流体循環を記述するための数理モデルとシミュレーションモデルを確立することである。本プロジェクトの初年度である2021年度に得られた主な研究成果は、以下の通りである。 (1)円筒形に成形したポリマー材料の表面にiPS心筋シートを貼りつけることで、拍動する円筒状構造体の作製を行った。 (2)画像相関法を用いて表面の変形挙動を計測し、その結果から主ひずみの時間変動を得ることに成功した。さらに、能動的応力の理論式を用いて主応力を評価し、ひずみと組み合わせることで応力-ひずみ挙動を得ることができた。また、得られた応力-ひずみ挙動を高精度で予測するオリジナルの粘弾性モデルの開発に成功した。 (3)円筒構造体内部に微細な粒子を分散させた培地を入れることで拍動にともなう流動を生じさせ、動画撮影後に粒子の変位を計測することで流動の定量的評価に成功した。されに、流体力学に基づく簡単な理論モデルを提案し、実験との比較を行った。 (4)3Dバイオプリンターを用いてポリマーゲルで原始心臓モデルの開発を試みた結果、中央部にもうけたミニ心臓弁が開閉することを確認した。 (5)3D-CADで設計した単純ポンプ構造について、3Dバイオプリンターを用いた実機の作製に成功し、さらに表面に細胞シートを貼りつけて細胞親和性についても確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究成果より、研究はおおむね順調に進展していると言える。その理由は以下の通りである。 (1)iPS心筋細胞シートとポリマーチューブを組み合わせて開発ずみの自己拍動する円筒形構造体を用いて、変形特性を表す理論モデルの構築に成功し、さらに、内部での流動特性を表す基本的理論モデルの構築にも成功した。 (2)3D-CADで設計した単純ポンプ構造について、3Dバイオプリンターを用いた実機の作製に成功し、さらに表面に細胞シートを貼りつけて細胞親和性についても確認することができた。 (3)3Dバイオプリンターを用いてポリマーゲルで原始心臓モデルの開発を試みた結果、中央部にもうけたミニ心臓弁が開閉することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究の推進方策は以下の通りである。 (1)自己的に拍動する円筒形構造体を用いて実験を行い、変形と流動を記述する理論モデルと比較することで、より高精度の修正理論モデルの開発を試みる。 (2)3Dバイオプリンターで作製したミニ原始心臓モデルのサイズ・形状および構造について検討し、特に心臓弁の開閉がより理想的になるようにデザインの修正を試みる。 (3)ミニ原始心臓モデルとiPS心筋細胞のハイブリッド化について検討する。たとえば、細胞シートを表面に貼り付ける積層構造化、あるいはポリマーゲル内部に細胞を分散させてゲルと細胞を同時に射出して整形する複合構造化等について検討する。 (4)自己拍動を行うミニ原始心臓モデルの開発後、円筒構造モデルで構築した理論モデルを用いて変形と流動状態を予測し、必要に応じて理論の修正を試みる。
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