研究課題/領域番号 |
21H01244
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
花崎 逸雄 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10446734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | ハイドロゲル / 膨潤 / 相転移 / 相変化 / ゲル化 / 濡れ / ゲル / セルロースナノファイバー / ナノペーパー / 粒子追跡 / フレキシブルデバイス / インクジェット / 毛細管現象 / 流路 / 秩序形成 / ゾル / ラテラルフローアッセイ / 紙ベース分析チップ / 液滴 / micro-PAD / 紙ベース分析デバイス / Lab on a Chip |
研究開始時の研究の概要 |
透明でフレキシブルな基板であるナノペーパーは,低環境負荷な直径数nmのセルロース・ナノファイバー(Cellulose Nanofiber; CNF)を分散した水を乾燥して作製できる.CNF群が分散した水を乾燥する際には,分子論と連続体との間のスケールで,流体中にCNFの集積した微細な秩序構造が現れる.これを紙ベース分析チップに応用する際に重要となる流動現象の仕組みを追究する.
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研究実績の概要 |
セルロースナノファイバーから構成されるナノペーパーは,プリンティッドエレクトロニクスの基板としても盛んに扱われてきた.導電性インクのインクジェット描画では微量の水性インクがナノペーパーに着滴するので短時間に乾燥する.このため,水とナノペーパーとの相互作用に関しては,濡れ性に注目する以外は,導電性インク配線の電気抵抗の小ささに注目することが一般的である.これに対し,紙ベース分析デバイスの構成要素として活用する際には,インクジェット描画時よりも多くの水分により長い時間接触する場面が想定される.そして,実際にインクジェット描画よりも長時間多くの水に接触すると,ナノペーパーは次第に膨潤してゲル化する.乾燥状態のナノペーパーは無色透明であり,それは水にぬれた状態でも同様である.したがって,水中にナノペーパーが置かれた状態で膨潤してゲル化することがわかっても,ゲル化の過程を知ることは容易ではない.なぜなら,ナノペーパーの膨潤により出現するハイドロゲルと水との境界は目視で確認できないからである.そこで本研究では,一粒子追跡(Single Particle Tracking)に基づく顕微鏡動画データ解析によりゲル化の挙動を明らかにした.ブラウン運動するプローブ粒子を微量添加しておくことで,ナノペーパー膨潤型ハイドロゲルの存在領域を一般化拡散係数の指数低下により検出・定量評価することができる.この方法によりナノペーパーが水に濡れた際にセルロースナノファイバーで構成されるハイドロゲルが現れる基本的な過程を明らかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノペーパーを紙ベース分析デバイスの構成要素として活用する上で,液体の水との相互作用に注目する過程で,ナノペーパーの膨潤挙動が一般的な紙と著しく異なることを見出した.その特徴を丁寧に顕微鏡動画データ解析で段階的に明らかにしてゆくことができているので,順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
導電性インク描画時に微量の水分と相互作用する際には気付かないようなナノペーパーの膨潤挙動は,水と相互作用する時間が長ければナノペーパーの膨潤を経たゲル化につながることを確認した.この特徴を活用する方法について掘り下げることで,新たな機能として確立するための基礎的な知見を獲得することを狙う.
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