研究課題/領域番号 |
21H01364
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
劉 小晰 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (10372509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | スピンテクスチャ / トポロジカル / 論理演算素子 / メモリ素子 / スピントロニクス / トポロジカルスピンテクスチャ / トポロジカルスピン論理素子 / トポロジカルスピンニューラルネットワーク / トポロジカルスピン量子ビット / トポロジカル磁性体 / 磁気スキルミオン / トポロジカルスピンメモリー / 磁性薄膜 / キラリティー / 磁性メモリー・論理素子 |
研究開始時の研究の概要 |
磁気スキルミオン、磁気渦、キラリティー磁壁などトポロジカルスピンテクスチャはスピン流、電圧、光、スピン波など多数な物理量と相互作用するため、より自由度の高い制御ができる。高密度メモリ、高速論理回路、高密度蓄電池など幅広い様々な分野への応用を期待され、注目を浴びている。 本研究では、理論的、実験的に各種トポロジカルスピンテクスチャとスピン流、電圧、光、スピン波の相互作用メカニズムを解明すると共に、その低消費電力性、高速性、高密度性を実証する。すなわち、『トポロジカルスピンテクスチャの次世代論理演算・メモリ素子への応用の基盤を構築する』ことが本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本年度では、①ナノスケールトポロジカル磁性体の中の単一トポロジカルスピンテクスチャの応力、磁界、熱による振る舞い;②3Dトポロジカル磁性体の中の磁気スキルミオン串の振る舞い;③トポロジカル磁性薄膜の中の磁気スキルミオンクラスターの振る舞いに着目し、ニューラルコンピューティングへの応用、量子ビットの創成に注力した。 年度前半に、トポロジカル磁性マイクロ円板を研究室所有のマスクレース露光装置を用いて基板上に作製した。円板の周りにΩ形状のコイルを形成し、コイルに直流、交流電流を加えて、トポロジカル磁性円板の中のトポロジカルスピンテクスチャの振る舞いをカー顕微鏡を用いて観察した。磁気スキルミオンと磁気bimerons間のトランスフォーメーションと呼ばれる現象を世界初めて確認できた。トポロジカルスピンテクスチャ間のトランスフォーメーションは次世代AIに重要とされるリザーバーコンピューティングへの応用を期待できる。成果を学術誌Nano Letters (IF 11.238)に投稿し、2022年10月19日に掲載された。 量子ビットへの応用に狙って、3Dトポロジカル磁性体の中の磁気スキルミオン串のスピンー軌道トルクによる分岐、合流現象とその制御に関する研究を行った。Y、X、O形状の分岐、合流のよる磁気スキルミオン串の多様性を明らかにした。 更に、磁気スキルミオントラジスタを狙って、磁気スキルミオン流体の概念を提案した。磁気スキルミオン流体は特殊なエネルギー障壁に非対称的な特性を示す。新規な論理素子への応用に期待できる。 本年度では、本研究の関連成果をNano letters, Advanced Materials, Physical Review B, Applied Physics Lettersなど学術論文誌に論文11本が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度では、ニューラルコンピューティング、量子ビットへの応用を目指すトポロジカルスピンテクスチャのトランスフォーメーション、新規な駆動、制御方法など理論並びに実験を多方面で展開した。多数の研究成果を得られた。研究の成果がNano letters, Advanced Materials, Physical Review B, Applied Physics Lettersなど学術論文誌に論文11本が掲載された。Google Scholarの論文の引用状況を確認したところ、2022年度掲載された論文がすでに100回以上に引用され、学術性とそのインパクトを確認できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度において、トポロジカルスピンテクスチャのスピン構造と物性の関係をさらに検討し、単結晶トポロジカル磁性体の提案、作製に注力し、トポロジカルスピンテクスチャとスピン流、電圧、光、スピン波など多数な物理量と相互作用を検討し、ポロジカルスピンテクスチャのスピン構造と磁性薄膜の物質、結晶構造、ナノ構造などの関係を明らかにする。特に、応用を見据えトポロジカルスピンテクスチャのスピン構造と電界の関係を理論並びに実験を通じて解明し、低消費電力・高速演算メモリーへの応用の基盤を構築する。研究室所有の光ピンセットや磁気光学カー顕微鏡を用いて、マイナス20℃から200℃までの各種トポロジカルスピンテクスチャの特性の温度依存性を明らかにする。これによって、トポロジカルスピンテクスチャの不揮発性を確認し、高速論理演算やニューラルコンピューティング、量子コンピューティングへの応用の基盤を構築する。
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