研究課題/領域番号 |
21H01492
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山中 俊夫 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (80182575)
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研究分担者 |
崔 ナレ 東洋大学, 理工学部, 助教 (10826481)
小林 典彰 大阪大学, 大学院工学研究科, 技術職員 (60880656)
小林 知広 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90580952)
山澤 春菜 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (80982305)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 新型コロナウイルス / 感染症予防 / 局所排気 / 置換換気 / 床吹出し空調 / 感染症感染防止 / 呼吸域吸気 / 呼吸域吸気型置換換気 / 診療室 / 局所排気フード / 全面床吹き出し空調 / 感染モデル / 室内気流 / 飛沫核 |
研究開始時の研究の概要 |
感染リスクを予測するモデルとして有名なWells-Riley感染確率モデルは、一定の実用性もあるものと考えられるが、(1)ウイルスなどの微生物の寿命が考慮されていない。(2)室内気流によって決まる室内での飛沫核濃度の分布と時系列変化が考慮されていない、という2つの大きな問題点がある。本研究はこれらの問題点を、パルス応答関数と寿命関数の導入により解決することを目的しており、CFD解析と実験データにより、応答関数解析を行い、置換換気をはじめとする高効率換気を行う室内での感染リスクを行う。本研究により、感染者を収容する病院や、飲食店などでの、感染者数を劇的に減少させることができると考えられる。
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研究実績の概要 |
呼吸域給気型置換換気と、診察室を対象としたフランジ形フードと床吹き出し空調(全面床吹出し空調、旋回流型吹出し口、置換換気型吹出し口)の組み合わせによる換気システムを対象として、局所排気と全体排気量との風量バランスや、患者と医者の位置関係、局所排気との組み合わせによる換気性能の変化について、検討を行った。また、マスクをつけた頭部マネキンを用いて、咳をしたときの飛沫・飛沫核の粒径別発生量と発生速度の測定を行った。 呼吸域給気型置換換気システムでは、感染者を想定した模擬人体から、トレーサガス(CO2)とともに、飛沫核を模擬した模擬飛沫核をネブライザーを用いて発生させ、呼吸域給気型置換換気システムを用いた場合の室内の飛沫核濃度分布性状について検討した。その結果、呼吸域給気温度が高い場合には飛沫核・CO2 がともに拡散する傾向が見られ、従来型の置換換気の方が、飛沫核の拡散を抑制することができることが明らかになった。 一方、診察室等におけるフランジ形フード併用床吹き出し空調に関しては、実大実験室において、局所排気フードを患者の直上部に設置した場合、机をはさんだ対面者の中央にフードがある場合の両方について、トレーサガス(CO2)と模擬飛沫核の移流核酸性状について検討を行った。その結果、CO2ガス、飛沫核ともに局所排気フードの捕集率については、フード排気量が大きいほど大きいが、組み合わせる床吹き出し空調としては、全面床吹き出し空調が最も捕集率が高く、次いで置換換気型ディフューザー、最も悪いのが旋回流型ディフューザーであることがわかった。また、対面者の暴露濃度についても、床吹き出し空調の方式による違いは大きいことが明らかになった。一方、またフードが人体間にある場合ではフード導入による大きな効果を確認することはできなかった。さらに、マスク時の飛沫核発生特性をデータとして明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、呼吸域給気型置換換気では、実際の咳飛沫や飛沫核が発生した場合の在室者の感染リスクの評価を実験により行い、実際の事務室に導入する場合のパラメータの組み合わせ条件と感染リスクとの関係について、検討を行う予定であったが、予定通りの実験を行っただけでなく、様々な床吹き出し空調の方式による差異についても、検討を進めることができた。ただし、CFDによる時系列解析は、時間の関係で、行わなかった。 また、診察室における局所排気・床染み出し空調では、様々な局所排気装置の形状や位置パラメータを変化させた条件での実験とCFDを行い、実際の診察室での設計要件を明らかにし、設計用の資料を整備することができた。 また、局所排気装置だけを用いた場合の室内のエアコン気流の影響については、より重要な床吹き出し方式の影響に変更を行ったことから、行っていない。 また、感染モデルについては、実験のデータをもとに、医者や対面者の感染リスクを明らかにしたが、CFDの時系列計算を行わなかったことから、ウイルスの不活化と沈降の効果を明らかにし、応答関数の利用可能性については、検討を行わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より条件範囲を広げて、様々な換気量の条件に加えて、より一般的な天井吹き出し空調と局所排気や、局所排気の条件なども含めて、実験とCFDによる検討を進める。ネブライザについても、流量のより安定している製品に交換をして、実験を行う。なお、飛沫核の移流・拡散性状を評価する理論的な考察を深めるために、室内での汚染物の排出性能と、清浄空気の供給性能の二つの方向から、アプローチを行うこととする。
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