研究課題
基盤研究(B)
高い臨界温度(~40 K)と部臨界磁場をもつMgB2と鉄ニクタイド系BaFe2As2(122系)は、小型冷凍機や液体水素を使って冷却することで、液体ヘリウム温度(4.2 K)よりも高温での応用が可能な超伝導体として注目されています。本研究では、優れた素質を持つこれらの超伝導体を多結晶バルク形態で材料化することを目指し、材料合成プロセスの検討と材料科学研究を行います。マグネシウム金属蒸気を駆使するMVT法などの新規プロセスを活用することで、多結晶型高温超伝導バルクを基礎開発します。
優れた素質を持つ高温超伝導材料を多結晶形態で応用することを目指し、新規プロセスの基礎開発を目的として研究を進めた。本年度は、液体水素温度などでの高温での応用が可能な超伝導材料として注目されているMgB2の合成プロセスを主に検討した。超伝導バルクとしての応用を考えた場合、MgB2は粒界弱結合の影響がなく、無配向多結晶体であっても巨視的な超伝導電流を得やすいため、多結晶形態のバルクに高磁場を捕捉することが期待できるが、従来の合成プロセスでは反応時に空隙や不純物が生じることが課題となっていた。そこで本研究では、ホウ素源ペレットにマグネシウムの金属蒸気を輸送し、高充填率なMgB2バルクが得られる、独自のマグネシウム気相輸送(MVT)法に取り組んだ。前年度に得られた化学反応時における組織形成過程に関する知見を元に、反応前駆体となるホウ素源ペレットの化学組成を系統的に変化させてMVT法バルクを作製した。走査型電子顕微鏡により微細組織、化学組成を評価したところ、これまでと比較してより均質な微細組織が得られ、組成制御によって化学反応時の歪生成を大幅に抑制できることを示唆する結果が得られた。一方、MVT法は、他の高充填率MgB2バルクの合成プロセスとは異なり、原理的に熱処理時の高圧力印加を要さないため、大型のバルクの作製に有利であると考えられる。そこで、得られた化学組成に関する知見も活用することで、より大型のバルクの試作に向けた検討にも着手した。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に記載の実績が得られており、おおむね研究計画に沿って順調に進捗しているため。
研究計画に沿って研究を推進する。次年度は超伝導特性についての検討を重点的に進める。
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