研究課題/領域番号 |
21H01617
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
舟窪 浩 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90219080)
|
研究分担者 |
上原 雅人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (10304742)
木口 賢紀 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (70311660)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
|
キーワード | 窒化アルミニウム / 強誘電性 / サイズ効果 / ウルツ鉱構造窒化物 / エピタキシャル膜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、研究代表者が世界に先駆けて2020年に9 nmの薄膜でも強誘電性を確認した窒化アルミ基強誘電体薄膜を用いて、約130μC/cm2の巨大強誘電性を有するエピタキシャル膜を作製し、強誘電性の薄膜化による劣化現象である“サイズ効果”の起源を解明することである。 本研究では、膜厚によって結晶配向性が変化しないエピタキシャル膜を作製し、巨大強誘電性の“サイズ効果”の解明を行う。過去最大級の自発分極値を有する窒化アルミ基強誘電体では、“サイズ効果フリー特性”が期待できる。更にその絶対値の大きさから詳細な解析が可能であると期待でき、強誘電体薄膜研究の最大の未解決課題の解明が期待できる。
|
研究成果の概要 |
電界が印加されていない場合の残留分極値については、(Al,Sc)N膜は膜厚12nmまでの膜厚減少に伴う顕著な劣化は認められなかった。逆に残留分極値が上昇する現象も確認されたが、下部電極からの歪の効果によって説明可能であった。面内の配向が揃ったエピタキシャル膜とランダム配向の一軸配向膜では、膜厚依存性に顕著な違いは認められなかった。 一方抗電界は、膜厚の減少に伴って増加する傾向が両方の膜で認められたが、その上昇はこれまでに報告されている強誘電体の中で最も小さかった。この結果から、膜厚が数ナノメータになると材料ごとの抗電界の差は縮まることが明らかになった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ウルツ鉱構造強誘電体が薄膜化による残留分極の低下がほとんど見られないことを解明した。この成果は、この物質の大きな残留分極値を利用したトンネル構造のメモリ応用にとって、最も重要な結果といえる。 強誘電体を用いたメモリは最も低消費電力でのデータ保持が可能である。情報関係で消費されると予想される電力は今後飛躍的な増加が予想されており、そのエネルギー消費を下げるかは、今後の最も重要な社会課題の一つである。このことを踏まえると、本研究は(Al,Sc)N膜がこの社会課題に対応可能なことを示した結果であり、その社会的意義は大きい。
|