研究課題/領域番号 |
21H01710
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
荻原 仁志 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60452009)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | ペロブスカイト / ナノ材料 / 前駆体集積法 / 電極触媒 / 複合酸化物 / 水の酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
ペロブスカイト型複合酸化物(ABO3)は高機能触媒としての利用が期待されているが,高比表面積化(=ナノサイズ化)が難しく,その応用の障壁になっている。本研究ではナノカーボン表面に金属前駆体を集積する技術(前駆体集積法)に基づき,「高表面積ペロブスカイトナノ物質の汎用的合成法の確立と生成機構の解明」を目指す。合成したペロブスカイトナノ物質群を電極触媒に用いて,電解による高効率な物質転換プロセスを開拓する。
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研究実績の概要 |
2021年度の研究で,前駆体集積法による多様な複合酸化物ナノ粒子の合成方法を確立した。従来までの特別な反応条件を必要とする複合酸化物合成方法と比較して,前駆体集積法では金属塩の溶液をナノカーボンに浸漬,乾燥,焼成するだけで容易に複合酸化物を合成できることを明らかにした。 2022年度では前駆体集積法で調製した複合酸化物の電極触媒としての活性を評価した。前駆体集積法は非常にシンプルな合成方法にもかかわらず,合成した複合酸化物は水からの酸素発生反応(OER)に有効な電極触媒として機能することが明らかとなった。とくにNiとFeからなる電極触媒が高いOER活性を示し,酸化物とナノカーボンの複合材料とすることで従来の貴金属触媒に匹敵する優れた電極触媒になることを見出した。触媒のキャラクタリゼーションから,NiとFeが近接して存在することが示唆され,この異種金属の近接構造が電極触媒として高活性を示した要因であると考察した。また,前駆体集積法でナノカーボン上に金属硝酸塩を固定化すると,加熱処理を行わなくても,反応溶液(塩基性の水溶液)に浸漬するだけでNiFe複合水酸化物を形成し,これが高いOER活性を示すことが明らかとなった。触媒の構造や電気化学的性質は,さまざまな分光学的手法や電気化学測定により特徴づけた。以上,前駆体集積法で合成した複合酸化物触媒が高い水の活性化能力をもつことを明らかにし,今後は水の活性化過程を利用した新たな反応系の創出を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り,前駆体集積法で合成した複合酸化物触媒が電気化学的に水を活性化することを明らかとした。得られた成果は学術論文として発表している。さらに,派生的な研究成果も得られており,研究はおおむね順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
水の活性化プロセスに注目し,新たな反応系の創出に取り組む。これまでの研究で確立した複合酸化物の合成手法を駆使して,水からの酸素発生反応にとどまらない新たな電極触媒反応プロセスを開拓する。さらに,本研究の展開過程で得られた派生的成果を活用して,独自の電解システムを確立する。3年間の研究を総括して,複合酸化物ナノ物質の合成と評価,およびその電極触媒特性について体系的な知見をまとめる。
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