研究課題/領域番号 |
21H01714
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
横井 俊之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00401125)
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研究分担者 |
中坂 佑太 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30629548)
尾澤 伸樹 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任准教授 (60437366)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | ゼオライト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ゼオライトナノ空間内に導入する金属種の位置・状態を制御する手法(=あらゆる要望に応えうる調製手法)を確立し、そして従来にはなかった全く新しい「CO2の非還元変換」である「CO2とエチレンの反応によるアクリル酸の合成」を実現させるため、反応工学と計算化学とのシナジー効果により「逆合成解析」的に触媒設計を行い、最終的には調製手法を駆使して、実際に望みの触媒を調製し、目的の反応を達成することである。先例のない、オンデマンドなゼオライト作りを通じ、「逆無機材料合成」という新しい学術を切り拓く。
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研究実績の概要 |
本研究は下記の3つの項目、研究項目A:ゼオライトナノ空間内での金属種の位置・状態を制御する手法の開発、研究項目B:反応工学・表面化学・計算化学アプローチの融合による触媒設計、研究項目C:触媒設計に基づく触媒調製と触媒性能評価から構成されている。 2022年度において、CuやFeイオン交換CHA型ゼオライト触媒は比較的低温であっても高いメタン転化率となることを見出した。さらにCHA型ゼオライトのCuカチオン交換およびメタン転換触媒特性に及ぼすAl分布の影響を明らかにした。Al分布が異なるCHA型ゼオライトにFe種をイオン交換法により導入したサンプルを調製し、NO吸着FT-IRやUV-visスペクトル測定などを用いて多角的に構造解析を実施した。Cu含有CHAではUV-visスペクトルの結果、どちらのサンプルもCuイオンがイオン交換サイトに高分散に導入されており、Al分布による大きな違いは確認されなかった。一方、NO吸着FT-IR測定では興味深い結果が示された。通常通り測定されたスペクトルとサンプルをN2Oを用いて十分に活性化させた後に測定されたスペクトルを比較すると、活性化によってCu+に由来するピークの強度が減少し、逆にCu2+に由来するピークの強度が増加した。これはCu+種がN2Oによって活性化されメタン活性種となったことを示している。さらに、活性化によって増加したCu2+種の増加量がAl分布によって異なっており、増加量の多いサンプルのほうが高い反応活性を示すことも見出した。この結果からイオン交換によって導入されたCu種はゼオライトのAl分布の影響を大きく受けていることが考察された。活性種の構築プロセスについては研究項目Bと連携し、計算化学からも検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼオライトナノ空間内での金属種の位置・状態を制御する手法の開発に関しては、CuやFeカチオン種に対して、骨格内Al位置を基盤にした制御手法を開発することができた。またメタン転換反応活性と金属の状態の関係性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2023年度は目的の達成に向けて各項目連携して研究を進める。特に、 研究項目A(ゼオライトナノ空間内での金属種の位置・状態を制御する手法の開発)では、2023年度において、ここまでの研究で見出してきた有望な金属種であるFe、Cu、Znに焦点をあて、位置・状態制御に取り組み、触媒性能の向上を目指す。 研究項目B(反応工学・表面化学・計算化学アプローチの融合による触媒設計)では、 これまで通り、項目Aで調製した触媒に対して、触媒構造情報から拡散特性を評価し、項目Aにフィードバックを行う。また目的反応を実現するためマクロな視点でのゼオライト触媒設計の提案も行う。 研究項目C(触媒設計に基づく触媒調製と触媒性能評価)では、これまで通り、項目Aで調製した触媒に対して、反応力場分子動力学法や第一原理計算を活用し、金属種の状態について評価を行う。また基質分子と触媒活性点上での反応機構解析を実施する。また目的反応を実現するための活性種、遷移状態からのゼオライト触媒構造の提案も行う
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